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夏、凝縮

無人島に行ってきました。

正確には陸の孤島であり管理人さんと貸与物のある、特別なキャンプ場といった感じでしょうか。
友人の企画のもと三十人以上の方が参加した修学旅行のつらいとこを全部抜いたみたいな一泊二日の旅行はあまりにも濃く、未だ楽しかった気持ちが抜けきっていません。

一日目、新宿を少々迷いつつシェアハウスのメンバーとなんとかバス前に到着。近くのコンビニでお昼を買いつつ、この中のどのくらいが同じ無人島に行くのだろうか……とぼんやり考えました。
なにせ三十人以上なので初対面の方も多く。企画側の計らいでバスの中でLINEのノートに自己紹介を書き、皆さんのそれを読み、なんとかある程度の方の顔と名前を覚えました。私はシェアハウス関連で来ているのでまだ何度かお会いしたことのある人のいる場でしたが、単身京都から夜行バスで来ていて誰も知り合いがいないという方も混じっての旅行です。彼にとっては非常に緊張しながらの移動だったのではないでしょうか。

八月最初の土日ということもあってか渋滞に巻き込まれつつ、14時頃に無人島の管理人さんとの待ち合わせ場所となる漁港に到着。本来はここから船に乗って行く予定でしたが、台風の影響か波が荒く船が出せないとのこと。ではどうするのかというと、そこは「陸の孤島」ですので一応の陸路があり。途中までは車で連れて行っていただきましたが、その後は山の中の獣道のような(少し整備はされています)を昇って下って滑れば死にそうな角度を慎重に歩きました。私の二つ前の人はヒールで来た女の子で、非常に難儀しつつも「大丈夫! 大文字山のおじさんに育てられたことがあるから」という彼女の話が本当だったのか今でも気になってやみません。

いざ到着すると、まあなんて開放感!
山道で流した汗を早く海に入って流したくてたまらず、服の下に水着を着ていた人は待てずに岩礁を越えて海に入り(船が出せない波の海です)、水着がない(荷物は別で預けて運ばれていくので到着待ちでした)人は各々芝生の上に寝転がったりして、全員が揃うのを待ちました。車のキャパシティの関係で三組に分かれており、私は先発組だったのです。

さて、全員揃ったら管理人さんから会場の説明。キッチン、シャワールーム、トイレの場所の説明から、注意事項。管理人さんは岩礁を指さして
「あの辺から転んで足首を折った人がいます。あとあの辺も転んで足首を折った人がいます。あっちのほうは岩が意外と安定してなくて転んで足首を折った人がいます」
と執拗に足首を折った履歴を説明。書いているうちに思い出しましたが、あばらを折った人もいるそうな。人を怖がらせるのがちょっと好きなのか、裸足で歩いていたら「ムカデに刺されてないですか?」と言われました。刺されてたら流石にもうちょっと騒ぎます。

その後にはテント建て。説明書を見ながらウンウン言ってなんとか建て、その間に荷物も届き、自由時間と炊事時間。ざっくり半分に分かれて遊ぶ人と夕食を用意する人に分かれようという話で、恐縮ながら私は真っ先に遊ばせていただきました。水着に着替え、足首を折らないように岩礁を降り……海!
海だ!潮風!波!波!波!Big Wave!
……ひたすらに波が強い!ずずずうーっと波が引くのに引っ張られ、ばしゃーんと波が来るのに流されて。私はもう面白くって波にのまれる度笑っていましたが、泳ごうとしたり流されまいと抵抗したら怪我をしていたと思います。そういう海でした。しかし何年もぶりの海だったので、楽しくて楽しくて、何回も波を被りました。擦り傷はできました。

さて遊んだので手伝おう……と陸に上がりましたが、手際のよい炊事班、特にマジの料理人である人がさくさくと料理を進めてくださっていて、素人は何をしたらいいかとふらふら歩きまわり、結果漫画肉にアルミホイルを巻くという作業だけをやりました。この漫画肉はしーなさん別名サンタさん(勝手に呼んでいます)が仕入れてくれた牛骨に豚バラなどを巻いたもので、無人島の目玉のひとつでありました。骨は下処理が必要で、その一部に関わったこともあり、漫画肉には縁があるなあ……と感慨深く思いつつぐるぐる巻きにして運び。その後やることがなくなったので、何をしていたんだったかなあ。水鉄砲を持ってはしゃいだり、シャボン玉を持って来てくれた人に借りて副流煙シャボン玉を作ったりしました。つまり結局遊んでいました。申し訳ないことです。

しかしこうして思い返して見るとやはり頭のねじが飛んでいたと思います。開放感に包まれ、開放感に包まれた人と話し、なんの抵抗も無く男女と水着になって健全にはしゃぎ倒し、ほとんど他の人が作ってくれたカレーを美味しく食べ、シンガーソングライターのかよこちゃんの歌を聴き、暴走猫ちゃんというバンドの演奏を聞き、ランタンの光や星の光ばかり目に入って蚊や蜂やムカデは目に入らない。
異常な量の花火もやりました。もう一生分やったくらい花火を味わいました。普通線香花火をラストにやって終わっちゃったねとセンチメンタルになるものですが、そもそも線香花火に辿り着かず、ちょっと休憩…とその場を離れたら花火のターンが自然消滅していました。皆大人だから各遊びの体力がもたないのでしょうか。
それからはおしゃべりに興じたり、ただただぼんやりしたり、占い師の方に占いをしていただいたりしました。私はやはり小説を書いていたいので、小説面で結果が出せるかどうか占っていただき、かなり良い結果を伝えていただきました。あーよかった、こないだ出した賞が当たればいいな。それとも次に出す奴かな。占いのいい結果はまるっと信じるタイプです。これに甘えてしまわぬよう、文章を書いていなくては。
ふう遊んだ遊んだと寝るためにテントに入る頃、もう零時。一度寝転がると起き上がる気になれず、まだおしゃべりする人の声を聞きながら「眠剤飲み忘れた…」と思う頃もう寝てしまいました。


翌朝、蝉の声で目覚めます。ぼんやりしていたら企画の友人の声もする。おや今は何時だろう。スマホはテントの外で充電中だったので、とりあえず外に出てみると、空の様子を見るに早朝。しかし何人かちらほら起きていました。朝まで起きていた組がのんびりしたり夕飯の片づけをしたり朝ご飯の準備をしたりしていました。なんてありがたいことだろうなあ。自分も手伝わねば。と、思いつつも、低血圧で何にも頭が働かず、とりあえず煙草吸ってコーヒー飲んで顔洗って化粧して(ここまで多分一時間)さあ何か手伝おうと思った頃に蟹が出ていました。朝ご飯です。朝ご飯にハナサキガニ。鮪の焼いたやつも出ていました。サンタさんもといしーなさん、ありがとう。全部食べたうえに、トマトを丸かじりし、コッペパンも食べました。狂っています。胃腸まで開放感。
ぼやぼやしながら美味しく食べているうちに起きてくる人も結構いて、昨日の残りのカレーやスイカやメロンも出てきて、いや切ってくれた方がいるのですが、ありがたくみんなで頂きました。
早起きしたために、二日目も割合のんびりしてからの片づけとなりました。
建てたテントをばらし、ごみをまとめ、余った食材を皆で分配して、荷物をまとめて……。これも無人島の遊びのひとつの気分でやっていたというか、帰ることが信じられない気持ちでした。
帰りも山道。歩き終えてコンクリート舗装の道に出て、港行きの車を見た時やっと「ああ帰るのか」と思い至りました。しかしまあこれから数時間みんなでバスに乗るわけだし。
が、案外あっという間に東京へ到着。開放感から時間感覚が麻痺していたのかも。
ばらばらと降り、もう少しお喋りをし、解散……。
短いようで長かったようでやはり短い、夏を凝縮した二日間が終わってしまいました。
非常に貴重な体験で、企画してくれた二人に感謝しかありません。
船に乗るなど叶わなかったこともありますが、それも含めて良い思い出が出来たと思います。
肉体的疲労は今もあり、俗世に戻ってきたことが信じられないまま数日過ごしています。ずっと無人島でキャンプしてたいな。だめかな。だめか。ほんの時々だからよいのでしょう。

ちなみに、翌日無人島で余った花火を含めた花火会を近所でやりました。線香花火に辿り着きました。


名前の出てきたひととか

めちゃくちゃ料理してくれた牛刀マンさん(https://twitter.com/Mikenshiwayose
しーなさん(https://twitter.com/kanohnatsumaro)もしくは(https://twitter.com/dorodoromen
かよこちゃん(https://twitter.com/kayokodane
暴走猫ちゃん(https://www.youtube.com/@tapon3570

会場:Aqua Village(https://villageinc.jp/aqua/
企画:たかせちゃん(https://twitter.com/syuhomi)ヒラウチさん


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