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わなにかさま(七)


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集会所の玄関には大きな鳥のはく製が飾られていて、大人たちはそのはく製をよけながら行き来していた。男たちが入り乱れてあわただしい。
スリッパに履き替えて上がったけど、シゲナリじいさんについていくとすぐに広い和室で、スリッパをぬいで畳に上がった。
「こけ、座って待ってろ」
とすみっこの座布団を指さすので、へしっぺらを横に置いてそこに座った。
座布団は細長い部屋に距離をあけて縦に2列、合わせて20枚くらい並んでいたけど、座っているのはぼくだけで、みんな忙しそうに歩き回ったり、誰かをつかまえては話し込んでいる。
笑いながら話している人も、深刻そうに話している人もいた。前に行った親戚のお葬式みたいな雰囲気だった。

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