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厚い本選手権2021

紙の塊を見ると興奮してしまうという奇病に取り憑かれて40年。治療法のない難病ゆえ、症状は年々悪化し、勤務先の製本会社では人目を偲んで印刷物の山を撫で回すようになってしまいました。
というわけで今回は。

厚い本選手権2021 読み物部門

をお送りします。
今回は「読み物部門」。辞典やら図鑑やらは除きます。小説とか評論とか、文字を読のが中心の本から選びました。
漫画も除きました。漫画を入れるとほとんど漫画になっちゃうからです。

というわけで「厚い本選手権読み物部門」、第4位から・

第4位:ヌマ・サドゥール『メビウス博士とジル氏』


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38mm/p.512 厚み指数13.47mm/p

今回の写真は厚みを感じられるアングルでお送りしております。
読み物としてはやや大きいA5判のため、あまり「厚い」印象は受けませんが、これよりやや薄い本がたくさんあったので、ここからスタートしました。
フランスの漫画家メビウスのインタビュー集です。
だいぶ前に買ったよ報告しましたが最近やっと読了しました。

第3位:マイケル・ベンソン『2001:キューブリック、クラーク』

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40mm/p.608 厚み指数15.20mm/p

この本もA5判です。わずか2mmの差ですが、総頁では96頁の差があり、本文総頁を本の厚さで割った「厚み指数」は1.73の差が出ました。
本全体の厚さはページ数と本文の紙の厚さ、表紙の板紙の厚さで変わりますが、まぁ順当な指数でしょうか。
映画『2001年宇宙の旅』の制作ドキュメンタリーですが、天側に付箋が貼ってあるのにお気づきでしたでしょうか。
ブログで感想を書くために付箋を貼りながら読んでいたのでした。けっこう大変だったなぁ。

第2位:増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

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44mm/p.704 厚み指数16.00mm/p

なんとなくこの本が1位だと思ってましたが、2位にとどまりました。
しかし、背のタイトルが3行になっているあたりに「どや!」というゴツい本としての自信のようなものを感じます。
木村政彦がなぜ力道山を殺さなかったのか、という本です。

第1位:ロベルト・ボラーニョ『2666』

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48mm/p.872 厚み指数18.16mm/p

そうそう。この本があったじゃんね。
チリ生まれでメキシコの作家ロベルト・ボラーニョの遺作。
長さはそれぞれですが、ほぼ長編(100頁弱)から完全に長編(250頁前後)まで、5作の小説が収録されています。ちなみにこの本、二段組です。

死期を自覚していたロベルトは、自分の子供たちの経済的保障のため、別々に5冊の本として刊行することを望んでいて、契約金の交渉までしていたそうですが、死後、1冊の本として刊行することが文学的価値を高めると判断され、こういう構成になったそうです。
「文学的価値」というのは私には難しくて判断できませんが、1冊にまとめたことによって「厚い本的価値」は間違いなく上がっています。
もしも5分冊だったら私は絶対買ってませんね。この本買うまでロベルト・ボラーニョって知らなかったし。

というわけで「厚い本選手権2021」いかがでしたでしょうか。
選手権っぽく「2021」とか付けてみましたが、来年やっても再来年やっても同じ顔ぶれのような気がします。
それではまた、なんか思いついたらなんかやります。その日までごきげんようさようなら。

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