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わなにかさま(六)

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振り向いたタツヒコは、日に焼けた濃い顔をしていた。
太い眉毛、大きな目玉に高い鼻、大きな口の横には縦に深いしわがあった。
マジックでギュッギュと描いたような顔だ。
肩幅も広くて、腕も胸も腹も太い、ゴロっと分厚い体格だ。

「おう、シゲナリさん。参ったよタキくんが来れにゃあって」
「なんでぇ?」
「足を折ったってよ」
タツヒコは自分の右もものあたりをパンとたたきながら言った。骨も太そうだ。
「いつぅ?」
「今朝今朝。お出ました様子を見に行こうとしてどこかで道から落ちただか何だか」
タツヒコは途中からぼくのほうをちらちら見ながらしゃべっていた。

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