夏休みホラー映画劇場その2『シャイニング』と『ドクター・スリープ』を観たら
夏休みといえばなんか怖いやつ。
なんか怖いやつといえばホラー映画。
光るはオヤジのハゲ頭。
というわけで『IT』二部作に続いてまたもスティーブン・キング原作の映画を2本観ました。
「またキングものかよ」と思われるかもしれませんが、それにはちゃんと理由があるんですよ。
『シャイニング』
雪に閉ざされるため、冬季は営業しないホテルの管理人の職を得た作家志望のジャック。
静かな環境で創作に打ち込めると、家族で移り住みます。
しかしそこは過去、やはり管理人となった男が家族を惨殺するという恐ろしい事件が起きたホテルなのでした。
このホテルヤバい。
ホテルがヤバい上にジャックも思ったように創作できずヤバい感じになっていきます。
さらに息子のダニーは、未来を予知したり、普通の人には見えないものが見えるという不思議な能力を持っています。ホテルでいろんなもの見ちゃいます。
お母さんだけは普通の人ですが、世間知らずの箱入り娘が相手を見極めずに結婚してそのまま母親になってしまったような危なっかしさを感じます。たぶんダニーの能力は父方の血なんだろうと思います。
オカルトホラー映画なのですが、ジャックがおかしくなってからの妻との会話は完全にイカれたDV夫のイカれた言い分と同じで、「お前たちのため」とか「愛してる傷つけたくない」とか「お前たちが悪い」という言葉が散りばめられます。
そもそも頭のイカれたDV夫がホテルの幽霊に取り憑かれているのでタチが悪いったらありゃしません。母と息子は大ピンチです。
例の、斧でドアを叩き壊すシーンとか、雪中の迷路の追っかけっことか、追い詰められていくシーンでもハラハラしますが、逃げている途中で母親が幽霊と見つめ合ってしまうシーンもゾッとしました。「普通に幽霊がいるんだよ」って感じでした。
母親役の女優さん、ドア斧シーンですごい顔になるんだけど、もともとああいう形の口なんですよね。それをガーッと開くからすごい表情になる。完璧主義のキューブリックが指突っ込んで無理矢理口角下げちゃったんじゃないかって思っちゃうレベル。
そして『シャイニング』の続編のこれ。
『ドクター・スリープ』
なぜ『シャイニング』を観たかといえば、この『ドクター・スリープ』を観たかったからでした。
キングが小説『シャイニング』の続編として書いた小説『ドクター・スリープ』が原作ということなので、映画『シャイニング』(ややこしい!)にあまりこだわる必要はないと思いましたが、キューブリックの映画版のシーンをなぞっていたり、医者でもないダニーがなぜ「ドクター」なのかは、前作を観ていたおかげですんなり理解できました。
ただ、映画としては全くちがう種類のものでした。
『ドクター・スリープ』はどちらかというと超能力オカルトアクションでしょうか。
『シャイニング』のシャイニング(超能力)設定にプラスして、能力者からそのエキスみたいなものを奪って長寿を得ている一団との闘い、みたいな展開になります。
でも最後はあのホテルが対決の舞台となり、『シャイニング』のシーンも散りばめながらクライマックスを迎えます。
そしてラストは「成仏させました」みたいに収めるので、割とスッキリ感があります。
キューブリック版『シャイニング』の、不穏な緊張感がずっと続く感じと比べると、登場人物が多いのと場所もあちこち移動するのでやや散漫な印象でしたが、結構面白く鑑賞しました。
「『2001年宇宙の旅』は大傑作だけど『2010年』も結構楽しめる」という人にはおすすめします。
『2010年』、割と好きでたまに観るんですよねぇ。
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