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1月6日、"ゴシックまとめ"なラス・ウエルガス写本から響き出す、ゴシック・サウンドの異世界感!

ジョルディ・サヴァール率いるエスペリオンXXIの演奏、ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャの歌で、ゴシック期の聖歌をまとめた、ラス・ウエルガス写本から、聖なる動物の寓話を歌う...
Alia Vox/AVSA9951

1187年、カスティーリャ王、アルフォンソ8世(聖母マリアのカンティーガ集を編纂したアルフォンソ10世の曾祖父... )と、王妃、エレノア・オブ・イングランド(トルバドゥールの文化をパリに持って来たエレアノール・ダキテーヌの娘... )夫妻によって創設された、スペイン北部、ブルゴスにある女子修道院、ラス・ウエルガス修道院... サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路にあったことで、ゴシックの都、パリをはじめ、ヨーロッパ各地から聖歌がもたらされ、修道女たちの聖歌隊により歌われていた。で、それら、186曲にも及ぶ、単声、多声による聖歌をまとめたのが、ラス・ウエルガス写本。1325年頃に編纂され、以来、修道院に伝えられた。

という、ラス・ウエルガス写本から、"Bestiaire et Symboles du Divin"、動物と神の象徴と銘打ち、様々な動物が登場する聖歌を中心に11曲を取り上げる、サヴァール。動物だけに、ほのぼのとした表情も見せるナンバーもあるのだれけど、基本、"ゴシックまとめ"なラス・ウエルガス写本。まとめることで、ゴシックの精神は抽出され、昇華されるようで... そうして浮かび上がる、宇宙をも音楽で捉えていた中世の人々の壮大な音楽観... 我々とは異なるスケールを持つゴシック・サウンドの異世界感!戸惑いを覚えつつも、澄み切って吸い込まれそうなスペイシーさに圧倒される。

という、ラス・ウエルガス写本を聴かせてくれた、サヴァール。いつもの味わい深さとはまたちょっと違った印象を受けて、新鮮... いや、もう、突き抜けていて、何だか仙境の域... でもって、動物たちの"ほのぼの"含め、全体が神々しく光り出すかのよう。そんなサヴァールに応える、ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャのピュアな歌声がまたすばらしく... かつての修道院のイノセンスさ、絶妙に表現。エスペリオンXXIの演奏も相俟って、ありがたい雰囲気、漂い出す。

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