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12月8日、ピリオド・オーケストラによる『我が祖国』が描き出す、チェコの情景の驚くべき瑞々しさ!

毎年恒例、プラハの春音楽祭の開幕を告げる、スメタナの『我が祖国』によるオープニング・コンサート。昨年、2021年の開幕を飾ったのは、ヴァーツラフ・ルクス率いる、チェコのピリオド・オーケストラ、コレギウム1704!そのライヴ録音...
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チェコを代表する作曲家、スメタナ(1824-84)。その代表作にして、国民楽派の記念碑的作品、連作交響詩『我が祖国』(1874-79)。"モルダウ"でお馴染みの第2曲「ヴルタヴァ」を含めた6つの交響詩で織り成す、チェコの歴史と風景が雄弁に描き出される、チェコそのものといった名作。それをピリオド・オーケストラに任せたプラハの春音楽祭... 感慨も一入です。

で、何か、気合の入り方が違った、ルクス+コレギウム1704の『我が祖国』!徹底してスメタナの音楽と向き合い、細部までしっかりと聴かせようという意識、オーケストラ全体から感じられて... いや、ピリオド楽器なればこその弱さをその意識で補って、発せられる、ピリオド楽器だからこその味の集合体のモダン・オーケストラでは得られない独特の解像度!そうして描かれるチェコの情景の驚くべき瑞々しさ!これまで、何を見てきたのだろう?とすら思う瞬間、多々あり... ライヴなのも効いている!

いや、学校で歌ったお馴染み"モルダウ"の親しみというか懐かしさ?そういうイメージがどうしても先行する『我が祖国』だけれど、オーケストラ作品として、こんなにもおもしろく、刺激的だった?と、今さらながらに目から鱗... 何よりピリオドによって掘り起こされる新たなイメージ(=当時のイメージ)の興味深さたるや!スメタナの音楽をもう一度、同時代の音楽として捉え直し... 捉え直して聴こえてくる、ワーグナーやリストらの新ドイツ楽派の先進性... ローカルではない『我が祖国』が刺激的で魅力的!

という『我が祖国』を聴かせてくれた、ルクス+コレギウム1704... バロックのイメージ(ゼレンカなど... )が強かっただけに、まさか、スメタナとは?!という驚きがまずあって... 何より、スメタナを、これほどまでに見事に響かせるとは?!と、圧倒され... モダン・オーケストラには絶対に負けないという意気込みが凄い。だから、その熱い思いが結晶となり、まさに、交響的、詩、として、迫る!


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