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8月6日、18世紀、幻想曲のエモさに、ロマン主義の萌芽を見た!

新譜、カナダの鍵盤楽器奏者、メリザンド・マクナブネイが、J.S.バッハに、C.P.E.バッハ、モーツァルトらの幻想曲の数々をピリオドのピアノで弾く、"FANTASIAS"。

大バッハの半音階的幻想曲とフーガでガツンと始まり、まさに幻想的なC.P.E.バッハの幻想曲とフーガ、ハ短調(Wq.119/7)を、演奏者によるインプロヴィゼーションで挟み... 後半は、モーツァルトの前奏曲のアレンジを挿んでからの、モーツァルトの幻想曲、ハ短調(K.475)に、コジェルフも取り上げて...

バロック(大バッハ)から古典主義(モーツァルト)へ、18世紀における幻想曲の系譜を追う展開を見せつつ、インプロヴィゼーションなどを巧みに用い、それぞれの幻想曲をひとつにつなぎ、アルバム全体をひとつの幻想曲に仕立てるような、そんな様相も見せる"FANTASIAS"。だから、聴き応えが、半端無い...

で、おもしろいのが、18世紀末の製作、アントン・ワルターのピアノに基づくピアノ(ロドニー・レジェによる、2019年製... )で、大バッハからモーツァルトまでを弾いてしまうところ... 大バッハや、その息子にとってはモダンなマシーン... その力強い響きで、放たれる幻想曲のエモさ、インパクトある!

いや、惹き込まれるのです、"FANTASIAS"。そして、改めて再確認する、幻想曲の即興性... その即興性に、感情の発露を乗せてくるマクナブネイの演奏... しっかりとピリオドのピアノを制御しつつ、力強い!一方で、18世紀末のピアノの仄暗いサウンドが、重みをもたらし、即興性に重厚感を与えてゆく...

で、先が読めない幻想曲に重厚感が備わると、どこかおどろおどろしい?というあたりロマンティック?何だか18世紀の大家たちの想念を呼び出すような... 降霊会にでも参加しているような... イマジネーション、掻き立てられる!そんな幻想曲のおもしろさ、たっぷり引き出すマクナブネイ、ただならい。

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