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11月30日、ロマン派オペラ、先取りするドラマティックさ!ベートーヴェン、唯一のオラトリオ、『オリーヴ山上のキリスト』に驚かされた...

フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるシャンゼリゼ管の演奏、コレギウム・ヴォカーレ・ゲントの合唱、セバスティアン・コールヘップ(テノール)らの歌で、ベートーヴェンのオラトリオ『オリーヴ山上のキリスト』。

1803年に作曲された、ベートーヴェン、唯一のオラトリオ、『オリーヴ山上のキリスト』。タイトルの通り、最後の晩餐後、受難を前にオリーヴ山で苦悩し祈るイエスと、山を下り捕えられるまでを描くオラトリオ(台本は、フーバーとベートーヴェンによる共同執筆... )。受難のオラトリオにしては、ちょっと中途半端な切り取り方、というか、肝心なところが無いのがもどかしいように思うのだけれど、音楽には惹き込まれる!

アン・デア・ウィーン劇場の劇場支配人をしていたシカネーダー(『魔笛』のプロデューサーであり、その台本作家にして、パパゲーノを歌ったことで知られる... )からオペラ(未完に終わった『ヴェスタの火』... )を委嘱され、作曲を始めるも、間もなく興味を失ってしまうベートーヴェン... で、その代わりに書かれたのが、『オリーヴ山上のキリスト』。

いや、改めて聴く『オリーヴ山上のキリスト』の魅力的なこと!序奏の仄暗さ、すでにロマンティック!で、本編がまたウェーバーのオペラを思わせるドラマティックさがあって... オペラがウィーク・ポイントというイメージのあるベートーヴェンだけれど、そういうイメージを払拭するドラマティックさ!『フィデリオ』よりも、しっかりオペラになっているのでは?なんて思ってしまうくらい。が、オラトリオでした、これ... いや、元々オペラを作曲する予定だった背景もあるのかもしれない。

そんな『オリーヴ山上のキリスト』を聴かせてくれたヘレヴェッヘ... 思いの外、熱い!いや、オペラかという熱量を以って息衝かせる!だから、このオラトリオ、こんなにもおもしろかった?!と、驚かされる。でもって、シャンゼリゼ管が、活きの良い演奏を繰り広げ、コレギウム・ヴォカーレ・ゲントが、しっかり盛り上げるから、もう、本当にオペラのよう... そこに、コールヘップ(テノール)が歌う瑞々しいイエス... オラトリオを忘れさせる存在感、凄く、魅惑的。 


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