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8月24日、シューマン×ヴィトマン、危うい魅力を放つ燃ゆる心...

ドイツのバス・バリトン、クリスティアン・イムラーが、アンドレアス・フレーゼのピアノで、シューマンの『ヴィルヘルム・マイスター』による歌曲集から4曲、レーナウの6つの詩とレクイエムと、ドイツの現代の作曲家、イェルク・ヴィトマンの歌曲集『燃ゆる心』を歌う、大胆な一枚、"DAS HEISSE HERZ"。

シューマンのリートとしては、ちょい変化球?ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスター』による歌曲集(1849)から4曲、レーナウの6つの詩とレクイエム(1850)。そして、クラブント、ブレンターノ、ヘルトリングという多彩な作家、詩人たち、『少年の魔法の角笛』からの詩を歌う8曲からなるヴィトマン(b.1973)の歌曲集『燃ゆる心』(2013)。という構成。

19世紀、ロマン派に、21世紀の現代音楽をぶつけてくる大胆さ!けど、ヴィトマンの『燃ゆる心』に収められた8曲は、思いの外、多彩な表情を見せ、現代音楽だと身構えていると、煙に巻かれるようなリヴァイヴァル感(シューマンから20世紀前半あたり?)に包まれて、調子が狂う... いや、何とも言えないヴィンテージ感もあって、そこが、おもしろい!

一方のシューマンは、すでに精神のバランスを崩していた頃の作品。何となく仄暗く、忍び寄る狂気がところどころ顔を覗かせる瞬間もあるのか... そのあたり、20世紀の表現主義を引き寄せるようでもあり、危うい... で、この危うさが、ヴィトマンの音楽と引き合い、大胆に思えた組み合わせも、しっくりきて、現代へとつながるリートの道筋が示される。

そんな"DAS HEISSE HERZ(燃ゆる心)"... まず、イムラーの麗しい歌声に耳が持っていかれる!で、表情に富み、ロマン主義のジューシーさ、現代のキッチュも器用に歌い上げ... いや、イムラーあって引き立つシューマン×ヴィトマンの世界だなと... で、研ぎ澄まされたフレーゼのピアノが、その世界の魅力をまた押し上げる!

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