10月4日、鬩ぎ合う18世紀を象徴するような、ウィーン古典派によるコンサート・アリアのエモさ!刺激的...
ベルリン古楽アカデミーが、ドイツのソプラノ、クリスティーナ・ランツハーマーをフィーチャーしての、ウィーン古典派、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンによる、ドラマティックなコンサート・アリアを取り上げる、"La Passione"。
ハイドンのシェーナ「ベレニーチェ、何をしているの?」Hob. XXIVa: 10 に 、アリア「独り、物思いながら」Hob.XXIVb: 20 、モーツァルトのシェーナ「もうよい、すべてわかった」とロンド「心配しないで、愛する人よ」K 490 、そして、ベートーヴェンのシェーナとアリア、「いいえ、心配しないで」WoO.92a と「おお、不実なる者よ」Op.65 の、聴き応え十二分の5つのコンサート・アリアが歌われる。で、その序曲に?ハイドンの序曲、ニ長調 Hob.Ia: 4 が、間奏曲にしては、ちょっと規模が大きいのだけれど、49番の交響曲、「受難」が挿まれる、"La Passione"。
明るく朗らかな古典主義の音楽... そんなイメージを覆す、ウィーン古典派の劇的なコンサート・アリアの数々... いやー、惹き込まれます。で、そのエモさに、ロマン主義の萌芽を見る思い... そもそも18世紀は一筋縄には行かない。前半、バロック、後半、古典主義、なんて、安易に説明されがちだけれど、実際は、感情的なバロックと、文字通りの古典美を標榜する古典主義、2つの感性の間を激しく揺れた100年... けして明るく朗らかなばかりではいられない、鬩ぎ合いの100年だった(ブフォン論争などは象徴的!)。で、その鬩ぎ合いこそ、18世紀の原動力であり、19世紀、ロマン主義への準備がなされていた(疾風怒濤などが、その典型かなと... )。
そんな、18世紀の鬩ぎ合いをそのまま形にするようなコンサート・アリア(ベートーヴェンの「いいえ、心配しないで」WoO.92a は、1802年の作曲、19世紀の作品... )を、見事、歌い上げたランツハーマーが最高過ぎる!麗しいソプラノで、古典美ならではの品の良さを保ちながら、鮮やかに劇的な感情の動きを表現... オペラとはまた違うコンサート・アリアの凝縮感を、圧倒的な美しさと、鮮烈さを以って引き立てる。
そして、ベルリン古楽アカデミーです。ランツハーマーをしっかりと支え、ウィーン古典派のエモさ、シャキっと盛り立てつつ、ハイドンの受難交響曲では、パッションに走るばかりでない実直さも見せ、クリアにして、情感にも溢れる音楽を展開... コンサート・アリアとはまた違う温度感で、魅了。いや、すばらしい。
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