2月28日、朗らかにして、神秘的... うつろう時代を生きたカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの、"Light and Darkness"。
イタリアのピリオド系フルート奏者、マヌエル・グラナティエロと、イタリアのピリオド・アンサンブル、アカデミア・オットボーニの演奏で、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのフルートのためのソナタ、いろいろで編まれる、"Light and Darkness"。
ARCANA/A537
カール・フィリップ・エマヌエル(1714-88)が、父、大バッハ(1685-1750)の下で学んでいた頃の作品(父の作品と間違われていたことも... )、フルートとオブリガート鍵盤のためのソナタ、ト短調(BWV 1020/H 542-5)に、父の下を離れ、フランクフルトで大学生をしていた頃の作品、フルートと通奏低音のためのソナタ、ホ短調(Wq 124/H 551)、そして、フリードリヒ大王の鍵盤楽器奏者(1738-68)を務めていた頃の作品、フルートと通奏低音のためのソナタ、イ短調(Wq 128/H 555)、無伴奏フルートのためのソナタ、短調(Wq 132/H 562)、フルートとオブリガート鍵盤のためのソナタ、ニ長調(Wq 83/H 505)、という、フルートが主役のソナタ、5曲...
父の影響下にあるバロック色の強いソナタから、フリードリヒ大王の宮廷のギャラントな気分に対応したソナタへ... うつろう時代を生きたカール・フィリップ・エマヌエルの音楽の繊細さを、フルートという楽器が美しく紐解いて、ふわーっと大気に放つかのよう... また、通奏低音を伴っての充実のソナタに始まり、チェンバロ伴奏によるソナタ、そして無伴奏ソナタと続き、次第にフルートそのものにフォーカスされてゆく構成が、絶妙!それは、まるで、音楽の深淵へと降りてゆくかのよう... いや、音楽を聴く以上の神秘的な雰囲気、漂い出す、"Light and Darkness"。
という、カール・フィリップ・エマヌエルのソナタを聴かせてくれた、グラナティエロ!そのフラウト・トラヴェルソの、やわらかで、芳しい音色、まさに春の陽光!かと思うと、底が見えないような深さも響かせるところも... 笛のただならなさ、じわっと感じさせてもくれる。そして、アカデミア・オットボーニのイタリアらしい明朗さ!イタリアから捉える、カール・フィリップ・エマヌエルというのが、思いの外、新鮮!何か、ひと味違う麗しさを生み出して、魅力的!
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