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12月11日、ヴァインベルク、厳しい時代を生き抜いて磨かれる洗練...

リトアニアから新たな逸材、ミルガ・グラジニーテ・ティーラの指揮、ドイツ・カンマーフィル、バーミンガム市響の演奏で、ヴァインベルクの7番と3番の交響曲、そして、1番のフルート協奏曲。
Deutsche Grammophon/4862402

第二次大戦(1939-45)、ソヴィエトへと亡命(1939)したユダヤ系ポーランド人、ヴァインベルク(1919-96)。ナチスのポーランド侵攻から逃れるための亡命だったが、その先にもまた困難が待ち構えていた... というソヴィエトの抑圧下、厳しい局面を乗り越え、書かれた、3作品... ジダーノフ批判の翌年、1949年に書かれた3番の交響曲に、雪解け後、1961年に書かれたフルート協奏曲、からの再びの冬、1964年に書かれた7番の交響曲...

で、最初に取り上げられるのが、7番の交響曲。交響曲とは言っても、規模が小さいのが特徴的... で、この交響曲のスパイスとして重要に役割を担うのが、チェンバロ!まるで、古い電話のベルのように鳴らされるチェンバロ... 何だかサスペンス映画のような雰囲気... 恩人、ショスタコーヴィチの亜流っぽさなくもないヴァインベルクの音楽だけれど、ここには、確かな個性がある!てか、ヴァインベルクの7番、改めて、おもしろい!

続く、ズパンシックがソロを吹く1番のフルート協奏曲... フルートの可憐さ、そのまま活かす、"社会主義リアリズム"にしっかりと収まったメイド・イン・ソヴィエト!これは、これで、ツボ。で、最後、3番の交響曲。癖強めのショスタコーヴィチから、その癖が抜けた?いや、洗練されたサウンドがヴァインベルクらしい… で、その"らしさ"こそ魅力。

というヴァインベルクを聴かせてくれたグラジニーテ・ティーラ... バーミンガム市響の音楽監督を務める俊英の、スマートにして麗しい音楽作り、なかなかです。で、彼女に応えるバーミンガム市響(コンチェルトと3番の交響曲)のイギリスならではの瑞々しさ!ソヴィエトの音楽にケミストリーをもたらす。そして、7番の交響曲を演奏するドイツ・カンマーフィルがまたすばらしかった!彼らならではのエッジーさと、グラジニーテ・ティーラが引き出す澄んだサウンドが、ソヴィエト云々の背景から作品を解き放ち、真新しい瑞々しさで彩る!

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