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4月13日、フランスの感性をそのままに繰り出される、驚くべき、やわらかなマタイ受難曲... バッハの音楽そのものの魅力が解き放たれる!

ラファエル・ピション率いる、フランスのピリオド・アンサンブル、ピグマリオンの合唱と演奏、ユリアン・プレガルディエン(テノール)、ステファヌ・ドゥグー(バス)らが歌う、バッハのマタイ受難曲。
harmonia mundi/HMM902691

中世にまで遡る受難曲の歴史... その伝統とより丁寧に向き合い、実直に聖書を歌い上げたのがバッハ(1685-1750)の受難曲。今となっては、受難曲=バッハというイメージが固定しているけれど、ラッソ(1532-94)、ビクトリア(1548-1611)、シュッツ(1585-1672)、テレマン(1681-1767)、などなど、多くの作曲家が、多くの受難曲を書いている史実。それでも、受難曲=バッハなのは、受難曲史上、決定的なものをバッハが書いたから...

いや、決定的だなと、マタイ受難曲... 受難曲の作法(聖週間の典礼のための音楽... )を折り目正しく押さえる厳格さ(バッハらしい... )、そこから、真に迫った受難のドラマ(オペラ的な感覚も巧みに引き入れ... )を展開する見事さ!厳格にして濃密なのが凄い... けど、濃密過ぎる... つまり出来過ぎている?というあたり、ぼんやり苦手意識があったのです。が、その濃密を飄々と解しに掛かるフランス勢!驚かされる、ピション+ピグマリオン!

フランスの感性をそのままに繰り出される、やわらかな受難曲... 明朗なサウンドに彩られ、受難のドラマよりも、作曲家、バッハの、音のパレットの豊かさに光を当てる!で、いいのか?!と、ツッコミもいれたくなるのだけれど、とにかく新鮮!その、極めてフランスらしいアプローチ... 屈託なく我が道を行って生まれる軽やかさ、明朗さに、とにかく、驚かされる。驚かされて、バッハの音楽そのものの魅力が解き放たれるよう。

そして、歌手たち!福音史家、ユリアン・プレガルディエン(テノール)、イエス、ドゥグー(バス)を筆頭に、ドゥビエル(ソプラノ)や、リシャルドー(アルト)ら、ラモーとかモーツァルトが似合いそうな面々が、明朗にバッハを歌うおもしろさ!すると、音楽そのものの輝きが呼び覚まされ、もはや、魔法... 魅了されずにいられない。

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