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11月19日、17世紀のヴァイオリン、侮れない!ウッチェリーニのソナタに魅了される!

イギリスから、バロック・ヴァイオリンの新たな逸材!コナー・グリスマニスが、自ら率いるバロック・アンサンブル、ノックスワードとともに、ウッチェリーニのヴァイオリン・ソナタを弾く...

マルコ・ウッチェリーニ(ca.1603-80)。
イタリア中部、フォルリ近郊、フォルリンポポリの貴族の家に生まれたウッチェリーニ。アッシジの神学校で学び、聖職の道を歩む中(1635年、司祭になっている... )、音楽も学び、アッシジの大聖堂の楽長でヴァイオリニスト、ブオナメンテに師事したと考えられている。その後、ヴァイオリニストとして、作曲家として活動を始め、1641年にモデナ公の楽士長となり、1647年にはモデナの大聖堂の楽長に就任。モデナ公、フランチェスコ1世(在位 : 1629-58)の手厚い支援を受け、充実した音楽活動を展開。ヴァイオリン・ソナタ集を次々に発表していく。が、公の代替わりがあって、ポストを離れると、1665年、フランチェスコ1世の長女の嫁ぎ先、パルマ公の宮廷楽長に就任。宮廷のためにバレエやオペラも手掛け活躍した。

という、ウッチェリーニのヴァイオリン・ソナタ!モデナ時代に作曲され、ヴェネツィアで出版された3つの曲集... 『ソナタ、アリアとコレンテ集』Op.3(1642)から3曲、『ソナタ、コレンテとアリア集』Op.4(1645)から7曲、『カンツォーネによるソナタ集』Op.5(1649)から2曲、合わせて12曲が取り上げられる。いや、思いの外、多彩なのです!

ヴァイオリンが器楽の主役となった17世紀、スコルダトゥーラなど、ヴァイオリンの表現の幅を広げることに寄与したヴィルトゥオーゾ、ウッチェリーニ... そういう自負が滲み出てくるソナタの数々だなと... 一方で、まだ17世紀、主役となって間もないヴァイオリンの初々しさ、何より気取らなさが得も言えず魅力的!「ソナタ」とはいうものの、ソナタ形式の型枠が確立されるのは、まだずっと先、なればこその自由な展開があり、そこに豊かな表情が生まれ、時にクラシックっぽさを忘れさせるようなところも... いや、17世紀のヴァイオリン、侮れない!魅了される! 

でもって、グリスマニスのヴァイオリンが、もう、とにかく澄み切っていて、惹き込まれる!真っ直ぐにウッチェリーニと向き合い、まるで生まれたてのようなピュアな音色を大気に放つかのよう... いや、素直... その素直さが、17世紀の音楽をニュートラルに昇華して、時代や様式を凌駕する音楽としてしまう。もはや、クラシック云々関係ない!そして、ノックスワードによるコンティヌオがまた絶妙!ソロを楚々と引き立てつつ、味のあるところも聴かせ、盛り立てる。

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