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11月28日、ウィーン古典派へと至る輝かしさ、魅了されます!トゥーマのテ・デウムとミサ!

ロマン・ヴァーレク率いる、チェコ・アンサンブル・バロックの演奏と合唱、チェコの若手歌手たちをソロに迎えて、18世紀、チェコ出身の作曲家、トゥーマのテ・デウム、シンフォニア、ミサ「貧しき者の父」。

フランティシェク・イグナーツ・トゥーマ(1704-1774)。
チェコ東部、コステレツ・ナト・オルリツィーで、地元教区のオルガニストを父に生まれたトゥーマ。幼くして歌の才能を見せると、プラハに行き、イエズス会の神学校、クレメンティヌムで学び、聖ヤコブ教会の聖歌隊に加わり、本格的に音楽の道を歩み出す。その後、帝都、ウィーンに出て、フックス(1660-1741)が楽長を務めていたシュテファン大聖堂でも歌っていた?ウィーンで研鑽を積んだトゥーマは、1731年に、ハプスブルク帝国の有力貴族(チェコの名門一族... )で、チェコの首相を務めていたキンスキー伯の楽長に就任。ウィーンとプラハを行き来することに... 1741年には、マリア・テレジアの母、エリザベート・クリスティーネ皇太后の楽長となり、1750年、皇太后が世を去ると、フリーの作曲家としてウィーンで活躍した。

というトゥーマの、テ・デウム(1745)とミサ「貧しき者の父」(1736)、そして、シンフォニアの3作品が取り上げられるのだけれど、まずは、メインとなる教会音楽、2作品... それはまだ大バッハ(1685-1750)が健在だった頃の作品... が、モーツァルトの教会音楽へとつながるウィーン古典派らしい明朗さを放ち、洗練された壮麗さに包まれる。いや、バロックの重々しさを脱し、麗しい!バッハとは19歳差、親子とまでの開きは無い両者だけれど、トゥーマの18世紀生まれという世代感は大きいのかも... そこに、チェコならではのキャッチーさも!ミサだけど、本当に魅力的な音楽が展開!

さて、テ・デウムとミサの間に取り上げられるシンフォニアが、このアルバムのアクセントに... 晩年、妻を亡くし、プレモント修道院に隠遁(1768)したトゥーマ、そこで作曲されたとされるシンフォニア... ウィーン古典派としての交響曲からするとシンプルなのだけれど、前古典派感は脱し、思いの外、表情豊か!シンプルなればこそ得られる表情の豊かさ... そこに、また、新たな時代を見出せる気がする。いや、侮れないトゥーマ...

というトゥーマを聴かせてくれた、ヴァーレク+チェコ・アンサンブル・バロック!その洗練された演奏に合唱、耳を奪われます!で、トゥーマの明朗にして壮麗な古典主義を美しく引き立てる!そこにソリストたちのフレッシュな歌声が加わり、花々しさも... いや、何だか一足先にお正月が来てしまったような晴れ晴れしい雰囲気、最高!で、彼らの最高を以って、モーツァルトに負けてないトゥーマ!

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