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11月26日、デュ・ベレーの詩が引き出す、豊かな表情、ルネサンスの古雅と新時代の息吹が織り成すシャンソン...

ドニ・レザン・ダドレ率いるドゥルス・メモワールが、ルネサンス期のフランスの詩人、ジョアシャン・デュ・ベレーの詩を歌う、多彩なルネサンスのシャンソンを取り上げる、"HEUREUX QUI, COMME ULYSSE"。

中世以来の国際語、エリートたちの言語、ラテン語に対し、一段低く見られていたフランス語の再発見と洗練を促した詩人、デュ・ベレー(1522-60)。古代ギリシア、古代ローマの古典に立ち返り、倣い、フランス語による新たな詩を模索(まさにルネサンス!)。そうして生み出された詩は、同時代の作曲家たちにインスピレーションを与え、詩こそを活かす音楽、ポリフォニーを脱しモノディーを準備する、新たな時代の扉を開く音楽の登場を促した。という、デュ・ベレーをフィーチャー!

アルカデルト(1507-1568)、ラッスス(1532-1594)、ゴンベール(1495-1556)ら、フランドル楽派の作曲家たちに、ベルトラン(1540-81)、ジャヌカン(1485-1558)ら、フランスの作曲家たちによるシャンソンが並ぶ、"HEUREUX QUI, COMME ULYSSE"。ポリフォニーがあり、モノディー風あり、器楽による演奏に、詩の朗読もあって、多彩。

いや、新しいムーヴメントを起こそうというデュ・ベレーの思いが伝わってくる多彩さ!新しい詩を前に、それぞれに挑戦的であろうとする作曲家たちの姿勢が、何だか、初々しい... そうして、フランス語の詩情、どのナンバーからも溢れ出し、豊かな表情に満ち充ちているなと... いや、ルネサンスのシャンソン、古雅ではあるのだけれど、それだけではない味わい深さ、聴く者に語り掛けるような距離感、魅惑的。

という、デュ・ベレーの詩によるシャンソンを聴かせてくれた、レザン・ダドレ+ドゥルス・メモワール。いつもながらの彼らならではの視点、そこから描かれる風景の瑞々しさたるや!詩情に溢れる歌声、味のある器楽の演奏... そこから響いてくるのは、ルネサンスの終わりの切なげな気分... そして、次なる時代を準備する、16世紀後半、ルネサンス爛熟期の豊穣さ、惹き込まれます。

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