見出し画像

2月22日、18世紀の瞑想音楽と21世紀の現代作品が生み出すケミストリー... 『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』の懐の大きさに驚かされる。

アンドレアス・シュペリング率いる、カペラ・アウグスティーナの演奏で、ハイドンの『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』と、それに呼応する現代の作品、ベルドゥの「シェバ」...
CAvi Music/8553518

スペイン、カディスにある"聖なる洞窟"、サンタ・クエバ祈禱室にて、四旬節のクライマックス、聖金曜日に集った会衆を瞑想へと促す音楽として、カディスの司教から委嘱された、ハイドンの『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』(1786)。今、改めて、その機会音楽としての性格を見つめれば、なかなかに斬新だったなと... で、カペラ・アウグスティーナが主催するハイドン・フェスティバルにて、この『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』を取り上げるに際し、ともに演奏する作品として委嘱された、スペインの現代の作曲家、ベルドゥ(b.1998)による「シェバ」(2018)...

『十字架上の... 』を構成する7つのソナタに呼応する7曲からなるベルドゥの「シェバ」。その意味は、ヘブライ語による"7(シェバ)"とのこと... で、それぞれ『十字架上の... 』の7つのソナタの後で奏でられ、おもしろいケミストリーを醸し出す!「シェバ」の、現代音楽ならではの抽象的な響きがあって、引き出される、『十字架上の... 』の、本来の瞑想音楽としての斬新な性格... で、「シェバ」がまた、瞑想に対し幻影(ほんのりスパニッシュ... カディスの記憶?)を浮かび上がらせ、思い掛けなく、魅惑的。

という、ハイドンとベルドゥを聴かせてくれた、アンドレアス・シュペリング+カペラ・アウグスティーナ。彼ららしい明確なサウンドで、クリアに捉えられる『十字架上の... 』、その実直さに惹き込まれ... 一方の「シェバ」では、ピリオド楽器の癖を活かし、新しい響きを生み出し、また惹き込まれる!しかし、大胆です、アンドレアス・シュペリング+カペラ・アウグスティーナ。裏を返せば、現代作品をも呑み込んだ、『十字架上の... 』の懐の大きさにも驚かされる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?