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12月21日、ムソルグスキーではなくて、ドイツの、バロックの、『ボリス・ゴドゥノフ』に、びっくり!

イタリアの鍵盤楽器奏者、アンドレア・マルキオルの指揮、EUのユースのピリオド・オーケストラ、テレジアの演奏、オリヴィエ・グルディ(バス)のタイトルロールで、マッテゾンのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』。
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ヘンデル(1685-1759)の友人にしてライヴァル(仲良くリューベックのオルガニストのオーディションへと向かうかと思えば、オペラの上演でどっちがチェンバロを弾くかで決闘までする... )として知られるマッテゾン(1681-1764)、ハンブルクの大聖堂のカントルも務めた生粋のハンブルクの作曲家で、音楽理論でも功績を残した人物。で、その若かりし頃は、ハンブルクのオペラハウス、ゲンゼマルクト劇場(1678年開場のドイツ語圏初の公開のオペラハウス!)で歌手として活躍しながらオペラも作曲...

というマッテゾンが1710年に作曲した『ボリス・ゴドゥノフ』。いや、『ボリス・ゴドゥノフ』といえば、ムソルグスキー(1869年に完成!)です。なもんだから、バロックにも『ボリス・ゴドゥノフ』が存在していたことにびっくりした!で、ムソルグスキーの重苦しいガチ歴史劇とは異なり、恋愛のゴタゴタありつつのボリス・ゴドゥノフが皇帝に戴冠するまでを軽快に描き出すマッテゾン!ムソグルスキーとはまた違うおもしろさ!

で、その音楽... ハンブルクのドイツ・オペラ(レチタティーヴォはドイツ語、アリアはイタリア語という奇妙なスタイルではあるのだけれど... )の充実を思い知らされる!イタリア・オペラの華麗さには及ばないかもしれない... けど、趣向を凝らした音楽が様々に繰り出され、登場人物たちは活き活きと歌い、見事!ヘンデルにも、イタリアにも負けてない!しかし、この作品、自由ハンザ都市ハンブルクとロシア帝国の間に何某かの問題(当時、北方大戦争の最中... )が生じ、お蔵入りになる。勿体なさ過ぎる...

そんな、バロックの『ボリス・ゴドゥノフ』を掘り起こしたマルキオル、テレジア!ユースならではのフレッシュさ、存分に活かし、北のオペラ都市、ハンブルクの活気を蘇らせる!で、ドイツ語(レチタティーヴォ)とイタリア語(アリア)を行き来する面倒臭いあたり、器用に歌い上げた歌手陣も、なかなかでして、魅力的!

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