8月5日、18世紀、チェロのみで織り成される落ち着きと、そこから響き出す時代の麗しさ!
新譜、ピリオドで活躍するイタリアのチェリスト、クラウディオ・ロンコとエマヌエラ・ヴォッツァのデュオで、プレイエルらによる古典主義の時代のチェロのソナタ集、"THE EARLY ROMANTIC CELLO"。
楽譜出版からピアノ製作まで、幅広く音楽事業を展開したプレイエル(1757-1831)の6つのチェロ・ソナタから3曲... パリ、オペラ座のチェロ奏者で、そのオペラ座を彩ったプリマ・バレリーナ、マリー・カマルゴの弟、キュピス・ド・レヌサール(1732-1808)の3つのチェロ二重奏曲から2番... イタリアのチェリスト一家出身でトリノの王立劇場のチェロ奏者、ドメニコ・ランツェッティ(ca.1730-1774)のチェロ・ソナタ... マンハイムで学び、パリのコンセール・スピリチュエルのコンサートでチェリストとしてデビュー、その後はドイツの宮廷で弾いた、トリックリール(1750-1813)の6つのチェロ・ソナタから2曲... って、なかなかにマニアックなチョイスなわけです。
マニアックだけれど、ただならず惹き込まれてしまうソナタの数々... 2挺のチェロのみで織り成されるサウンドの、何と豊潤なこと!コンソート・ミュージックを思わせる親密さを紡ぎ出しながら、チェロの魅力×2の威力!で、そのたっぷりの魅力を以って、古典主義の時代の麗しさ、響き出せば... マニアックさも、吹き飛ぶ!
一方で、そのマニアックさも興味深く... プレイエルはともかく、キュピス・ド・レヌサール、ドメニコ・ランツェッティ、トリックリールは、初めて知る存在... とはいえ、チェリストたちによるチェロを知り尽くしてのチェロ尽くしの説得力たるや!18世紀、古典派のお馴染みの作曲家で聴くチェロとはひと味違う密度というか温度感、印象深い...
そんな印象を喚起する、ロンコ&ヴォッツァの、チェロの魅力、たっぷりと堪能させてくれるすばらしい演奏!"THE EARLY ROMANTIC CELLO"は、思いの外、濃い!とはいえ、ロマンティックというには、飛躍し過ぎ?いや、その濃さには、どこか、次なる時代の臭いが漂うのかも... しかし、実に興味深く、魅了された。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?