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3月22日、ボリビア、脱西洋と高地が紡ぎ出す抽象、研ぎ澄まされた響き、プルデンシオのピアノ作品集。

コロンビア出身のピアニスト、ダニエル・アニェスの演奏による、ボリビアを代表する作曲家、プルデンシオのピアノ作品集。
KAIROS/0015117KAI

セルヒオ・プルデンシオ(b.1955)。
ボリビアの首都、ラパス(標高、3593m!)で生まれ、ボリビア・カトリック大学にて指揮と作曲を学び(1973-78)、ボリビアを拠点に、南米の現代音楽を牽引する存在... で、その作曲は、現代音楽に留まらず、映画音楽など、幅広く... さらには、民俗音楽にも積極的に関わり、1984年、オルケスタ・エクスペリメンタル・デ・インストルメントス・デ・ナティーボス(民族楽器実験的管弦楽団)を創設、ボリビアに伝わる民族楽器による現代音楽という興味深い試みを続けている。という、プルデンシオのピアノ作品、メラ・マルケス監督の映画『サヤリ』(1996)のために作曲された、"Umbrales"(1994)から、最近作、"Taqpacha"(2021)まで、6作品が取り上げられる。

西洋の視点からすればプリミティヴと言われるだろう先住民が紡いできたダイレクトな響きをニュートラルに見つめ、取り入れつつ(ヒナステラの新表現主義に通じる?)、現代音楽が培ってきた鋭敏な感性(ケージやフェルドマンを思わせる?)で以って、西洋における洗練を極めたピアノというマシーンに落とし込む... そうして生まれるプルデンシオの研ぎ澄まされた響き!無駄な音が一切無い!いや、そこには、高地に生まれ育ってのもの、あるように感じる。で、おもしろいのは、研ぎ澄まされて生まれる静謐さに、東アジアと共鳴するもの、見出し... さらには、日本を思わせる"間"が印象深い表情を創り出し、不思議... そうして、深く、惹き込まれた。

という、プルデンシオのピアノ作品集を、アニェスの演奏で聴くのだけれど... 高い集中力を以って打鍵される、クリスタルのような響き、プルデンシオの研ぎ澄まされた抽象を存分に引き立てる!で、そのクリスタルのような響きから、時に瑞々しさも生まれ、詩情もこぼれ出し、このあたり、プルデンシオの東アジア感、強調するのか?いや、水琴窟を思わせるピアノ響き、目を閉じて味わえば、枯山水の庭が浮かんできそうで... そんな瞑想性に、癒しも覚えてしまう。

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