「今夜すきやきだよ」はただのごはんドラマじゃなかった
またありきたりなごはん系ドラマかなあ、夜中ってこればっかり。
タイトルを見た時点ではそう思っていた。
でも、いつ何時、当たり作品に出会うかわからない。それだけの理由で録画していたこのドラマ、まさかここまで楽しめるとは。
ごはんはむしろ添え物的扱いで、それぞれの人生を描いた作品として、毎回テーマがあったのがよかった。(おいしくご飯が食べたい、という大前提みたいなものはある)
アロマンティックで、昔から周囲の恋愛至上主義についていけない、ともこ。
結婚願望はあるものの、家事が苦手で婚約者とうまくいかない、あいこ。
男なんだから我慢できるでしょ?に耐えられない、しんた。
みんな頑張ってるんだから、と耐えてしまう、ゆき。
料理が得意なともこと、バリバリ働くあいこが同居をはじめるところから物語は始まる。全然タイプのちがう二人なのに、気が合って、お互い得意なことを持ち寄って暮らしていく。
二人の関係はほぼずっと穏やかだ。お互いに、愛のある言葉をポロッとこぼす。
あいこが「ともこ、欠けてなんかないからね」と突然言い切った場面で、ああ、このドラマは見続けよう、と思った。
そんな日々のなかで、一度だけともこが「私、そういうもんって言葉大っ嫌い!」と言ってしまうピリついたシーンがある。
印象的だった。きっと、あいこにだから言えてしまった。そして、あいことだから、さらっと仲直りもできた。
あいこも、ともこといると安心する。彼氏には断られた家事代行サービス、ともこは「いいかも」と乗ってきてくれる。ここで「そうなの!意外と安いんだよ」と目が輝いていたのが可愛すぎた。
あいこは昭和な価値観の元彼やゆきの親達に翻弄されながらも、試行錯誤しつつ結婚に向かっていく。そして当然、ともことの生活にも変化が訪れることになる。
お仕事シーンも結構あって、ともこの絵本作家としての葛藤なんかも重すぎない程度に出てくる。
それに絡めて、エンタメ作品への批判についてもほんの少し触れられていた。「否定の声もアンチを除けば悪いものじゃない。私はこう感じましたよって表明なだけ」という言葉が、あっさりしていてとても好きだった。
蓮佛美沙子さん、この役すごく似合ってると思う。マイファミリーもそうだったけど、少し気が強い感じが意外とハマる。カラフルなファッションも可愛いし、ともこが作るごはんを毎回幸せそうに食べる姿がとにかくキュート!
トリンドル玲奈さんは、もうほぼすっぴんでは???みたいなメイクなのにとても美しい…。ナチュラルなファッションで、髪をまとめてもおろしても可愛い。透明感が半端ない。ほわっとした雰囲気と声が、これまたすごく合っていた。しっかりメイクで華のある役のイメージが強かったので新たな発見。
全体的にそんな大きな出来事は起こらず、ジメジメ、ネチネチといった要素が一切ない、軽やかなドラマだった。
おいしいごはんとほどよいお仕事シーンが入り混じって、ゆるっと見るのにおすすめだ。
#今夜すきやきだよ #テレビドラマ感想文 #ネタバレ