一度諦めていた島暮らしに飛び込んでみたら想像を超えた発見と挑戦があった
今回は10月期の島体験生として西ノ島の社会福祉協議会で働いている、櫻井ひよりさんのストーリーをお届けいたします。
一度諦めていた島の生活に踏み込めた
私が島体験に参加した理由としては3つあります。
まず、以前から島での暮らしや田舎での暮らしに関心がありました。島体験の出会いは、母親がテレビで島体験のことを見て、私に紹介してくれたことがきっかけです。
高校生の頃、学校生活に行き詰まっていた過去があり、山村留学や田舎での生活を調べた時期がありました。しかし、その時は現実的ではなかったため、「大学生になれば環境も変わるし頑張ろう!」と思いながら高校生活を終えました。実際に行動に移すことができなかったという過去もあり、島体験を知った時に率直に行きたいな!と思いました。
2つ目の理由は、東京の人の多さや情報の多さに圧倒されてしまっていたことです。
大学生になったと思ったらコロナの影響でオンライン授業になり、大学に通うことなく家で授業を受けるという学生生活が長く続きました。大学3年に入った頃、やっとコロナが徐々に落ち着いてきて、対面での授業が再開されました。その時に人と直接交流できる喜びを感じた反面、人の多さや情報の多さに圧倒されてしまい、どこか静かなところに行きたいなと思っていました。
3つ目は、
「自分、何もやってない」と思ったんです。
大学3年になり就活を意識し始めた頃、地方での就職に興味があったのですが、社会人になって突然地方で暮らし始めるのはハードルが高いなと思っていたりもしました。
生まれも育ちも東京で田舎が身近になかった私にとって、島体験という制度で島や田舎の暮らしを体験できることはとても魅力的で「行ってみよう!」と決めました。
日々、発見があり視野が広がっている
大学で高齢者福祉やジェンダーなどの社会問題についての分野を学んでいたことから、自分に合っているかなと思い、西ノ島の社会福祉協議会で働くことを決めました。
社会福祉協議会では事務業務、配食、子育てサロン、いきいき健康サロンなど多岐にわたる業務に携わらせてもらっています。
様々な業務に携わっていることから沢山の発見があります。
子育てサロン
小さい子が遊べるおもちゃを作りました。
おもちゃ作りにおいて、角のないものにすること、口に入ってもいい素材を使うことや手触りの良い生地を使うことなど、今まで考えていなかった視点が必要になります。
音がなるおもちゃが子どもからの反応が良いことも新しい発見でした。自分が工夫して作ったおもちゃで沢山遊んでくれている姿を見た時は本当に嬉しかったです。
子育てサロンではお子さんが自由に遊べる空間や、保護者の方々同士が交流できる場所作りをしてきましたが、ご高齢の方に向けた活動も担当していました。
配食・まめな体操・いきいき健康サロン
配食は一軒一軒、声をかけて回っていきます。返答がなかった場合は事務所に戻ってから電話をして確認します。
配食、まめな体操、いきいき健康サロンはご高齢者の様子を確認する為にも重要な役割も担っていて、ご高齢の方の見守りがしっかりしているなぁと感じました。
都会では同じような形で地域のご高齢の方を見守ることが難しい。これらの業務を通して地方と都会の違いであったり、都会の課題にも気づくことができました。
こんなことやるなんて想像もしていなかった
実は西ノ島田んぼ復活プロジェクトが始動したんです。
この事業所で働き始めた頃、自分の業務や働き方について悩んでいて、島体験の運営スタッフに相談をしました。その時に「田んぼはどう?」と一言もらったんです。そして、来島した頃に聞いたある話を思い出しました。
海士町にあるような田んぼが一面に広がっている風景が素敵だなぁと思っていたので、この美田地区の話を聞いたとき、もったいないなぁと思いました。なので、「田んぼはどう?」と言ってくれた時に「そういうこともできるんだ、そんな可能性があるんだ!」とびっくりして、これをきっかけに思い切って田んぼ復活に挑戦してみようと思い、動き出しました。
社会福祉協議会の業務の一環としてこのプロジェクトを立ち上げ、役場の方や島留学生の方とも協力をして活動しています。現在は、田んぼのスケジュールややり方などを勉強している真っ最中で、ゆくゆくはプロジェクトの第1歩として地域の方が交流できる田んぼの草刈りイベントを地域の方や島留学生・体験生と協力して行いたいと思っています。
3ヶ月間の島体験生が長期的なプロジェクトを立ち上げるのには沢山の課題もありますが、今後来る体験生に引き継ぎをしっかりできる体制で進めていこうと思っています。
虫嫌いだった私がこの田んぼ復活プロジェクトを始めるなんて、自分でもびっくりしています。
忙しいけど嫌じゃない
思い描いていた田舎のスローライフとは全く違うけど、ここでの忙しさは東京にいた時の忙しさとは全然違います。忙しいけど嫌じゃないんです。
東京にいた頃は人の多さや情報の多さに疲れることがあり、週に1日は何もしない日を作っていました。
ここでは、休日もイベントや畑のお手伝いに行ったり、意外と忙しいです。でも必要とされているのが嬉しくて、嫌な疲れじゃないんです。
ゆっくりできる日はあまりないけれど、たまに取れるゆっくりできる時間では料理をして1人の時間を過ごしています。この1人の時間が日々の疲れを癒してくれています。
広い心と気遣いでお互いが自由で入れる空間
私のシェアハウスは3人で暮らしていて、すごく良いシェアハウスの形をしているなぁと思います。
当初はお互いの価値観の違いで戸惑うこともあって、不安に思ったこともありました。
でもそれは最初だけで、今では帰ったら寝るまでずっとリビングで他愛もない話をしたり、時には仕事の相談をしたり、夜な夜なアートや書道をし始めたり毎日楽しく過ごしています。
とてもいいシェアハウスの形を作れているなぁと思います。
シェアハウス生活を通して、広い心と気遣いを意識することが大事だなぁと思いました。気になったことがあっても、「ま、いいかな」と思える心であったり、「あの家事をやってくれたから私はこれをやろう」と行動したり、自分がやりたいようにさせてもらっているから他人にも自由にいてもらおうと考えるようになりました。
「遠慮しすぎるのも良くない」
お互いにある程度、自由でいれることが大切だなと感じたし、その状態でいることが私たちのシェアハウスにはあっているんだなぁと思っています。
おわりに
インタビューをしている中で、その感覚素敵だなぁと思うことがありました。
ひよりさんの忙しい日々の中で、時間が作れた時に家の前の防波堤に寝っ転がって青空を見ながら、東京にいる時から聴いていた曲を聴いた日があったそうです。
東京で聴いた時とここで聴いた時と感じ方が全く違い、すごく幸せを感じたそうです。東京で聴いていた時に思い浮かべていた情景は「東京ではない、どこかだな」と思っていたそうです。実際にその想像していた情景にぴったりあう場所でこの曲を聞けたことがとても幸せで、スローライフを送っているなと感じた瞬間でもあったそうです。
同じ曲でも聴いている場所によって感じることが変わったり、場所によって聞く選曲が変わったりする発見もある。とひよりさんのインタビューを通して気づき、自分は今ここでどんな曲を聴きたいのかなぁと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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