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オーストラリア外務省に情報公開請求した文書が出ました! 小泉大臣と豪大使の会談用メモ:単独親権への後戻りを豪政府は全く主張していない

みなさんこんにちは。ほむらちゃんは、去年の暮れほどにオーストラリア政府へ2本の情報公開請求を出しました。いずれも日本の家族法と連れ去り問題絡みです。

そのうち1つ、外務省に宛てて出した開示請求に応答があったのでお伝えします。
ほむらちゃんが請求したのは、駐日大使が11月17日に小泉法務大臣と会談した際に用意した会談メモ②会談結果についての文書③日本の法務省が法制審議会の家族法部会に資料として出したオーストラリアの直近の家族法改正についての日本語訳資料に関して、両政府が行った連絡内容を知ることができる文書、です(やや意訳してます)。

この会談があったことはオーストラリア大使のツイッターで知りました。

https://x.com/AusAmbJPN/status/1725435658054013343?s=20


外交文書なのでかなり多くが非開示となりましたが、開示されたうち会談用メモ(トーキングポイント)に重要な箇所があったのでお伝えします。

読むべきは開示文書1ページ目の下、10行です。ちょっと写しと日本語訳と、あと記事の最後に英語の該当箇所写しを添えます(注1)。太字部は筆者によるものです。

「オーストラリアは近年、その家族法の改革に着手した、この改革は子供の最善の利益を家族法システムの中心に置くものである。
:2つの重要な立法箇所が、10月19日に、オーストラリアの家族法システムをよりシンプルに、全ての家族により安全にするよう可決された。
親責任の共同な分担の推定ーー両親が、彼らの子供に影響する決定について同等の発言力を持つということーーは廃止された。
:これは、共同監護(shared custody)を我々が放棄することを意味しない、すなわちオーストラリアは子供達が安全である場合には両親との関係を維持することができるべきであると信じている。

:むしろ、我々は子供たちと家族を守るための複数の現実的な実践を統合した。
:我々は教訓を共有するためにそちらの(訳者注:日本の法務)省との対話を増加させたいと願っている。」

以上についてまず1点。我が国の議論でいうと「親責任の共同な分担の推定は廃止」されたというのは、親権のうち身上監護というより財産管理、法定代理権についてデッドロックになるのを避けるため、一方の決定に優越を与えるという意味ではないでしょうか。

つまり共同親権反対派がいう「共同親権にしたら、子供の進学先が決められなくなる」などというケースを防ぐためと考えます。これはあくまで親権のうち意思決定についての問題であり「監護」についての話にはなっていません(少なくともこのメモを見る限り)。

どちらかというと共同親権を円滑に運用するための試行錯誤を経た現段階での結論という感じです。単独親権を言っているわけではありません。

2つ目に「共同監護(shared custody)を我々が放棄することを意味しない、すなわちオーストラリアは子供達が安全である場合には両親との関係を維持することができるべきであると信じている」という部分の意味を考えてみましょう。

両方の親との関係を維持することが、子供達が安全である場合には、そうするべきである(children should be able to maintain relationships with both parents where it is safe to do so )というのはつまり、別居親が薬物中毒で子に悪影響を与えたり、虐待の恐れがあるような場合以外は両方の親との関係を維持するべき、と読んで良いと思います。

(元)夫婦の仲が単純に悪いというのは、考慮されそうにない書き振りではないでしょうか。

ところが、共同親権反対の「ありしん」という方のnoteは、このオーストラリアの改正法をかなり都合よく解釈しているようです。以下の記事から抜粋します。

https://note.com/arisin/n/n99d8d55adeb8?magazine_key=m2498c3a50e39


弁護士の会による注目5ポイントのうち1の「「原則共同」・・・では危害ある事案を除外できず」は、オーストラリア大使からの(少なくとも日本の法務省に対する)提案メモでは全く考慮されていません

むしろ共同親権の原則を前提として、その中で決定権の優越を一方に与えると言っているだけではないですかね。

「子どもと子どもをケアする親の安全安心を確保することを重要な前提に据えたこと。」という言い回しについては①子供の安全が最優先なのは当然です。ただこの子供の「安全」は同居親による虐待や体罰からの安全も豪政府の主張からすると含意することに注意が必要ですよね。

また②同居親の安全についてですが、そこだけを謳っている箇所は開示文書にはない。ただ、家族内暴力に関して銃器庁(firearms agency)などの情報を裁判所が直接、迅速に集められるようにするという件なら、ありました。

これは、同居親が「嫌だと思う」とかいうお気持ちレベルじゃなくてもっと切迫した激しい生死の危険があるような場合に思えます。大体、オーストラリアは他の先進国同様、長年にわたって日本人による「連れ去り」と単独親権制度へ苦情を言ってきた国なので、今回のメモもその姿勢を反映した内容と見るのが素直です。

以下、オーストラリア政府の出した文書です。
応答文の1Pのみスクショで貼っておきます(2ページ以降はダウンロードしてください)

ほむらへのご支援と、あとエコーニュースのサイト記事も以下リンクからぜひお願いします!

https://echo-news.red/about

注1 Australia has recently undertaken its own family law reform, which puts the best interests of the child at the centre of our family law system
: two significant pieces of legislation were passed on 19 October to make Australia’s family law system simpler, safer for all families
: the presumption of equal shared parental responsibility — which assumes both parents have an equal say over decisions affecting their child — has been removed
: this does not mean that we are moving away from shared custody; Australia believes children should be able to maintain relationships with both parents where it is safe to do so
: rather, we have integrated a number of practical steps to protect children and families
: We are keen to increase dialogue with your Ministry to share lessons.
s33(a)(iii) s22(1)(a)(ii) (この2か所は不開示箇所と、その理由です)
Brief prepared by: (*ここは開示を求めなかったので文書作成者は空欄)

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https://twitter.com/echonewsjp/status/1744546173074153900

【音無ほむら】


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