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『ダ・ヴィンチ』の『私の推しは悪役令嬢。』作者インタビューと、悪役令嬢

 『ダ・ヴィンチ』の2024年1月号に悪役令嬢漫画特集の流れで『私の推しは悪役令嬢。』(以下、『わた推し』と略す。)原作者&コミック版作者インタビューが掲載されたました。

いのり。 特に第7話(単行本2巻収録)で、レイが自分が同性愛者であることをクレアたちに明かす場面があるのですが、原作ではセクシャルマイノリティのしんどさを、切々と語って終わっているんです。

『ダ・ヴィンチ』2024年1月号 162ページより

 「しんどさを、切々と語って」、うーんそうですか。まあそうなんでしょう。

 個人的にはノリが大分違うような気がしましたが。

いのり。 レイは現実主義者で理性的で、ギャグで人をけむに巻くところがあり、そして大人というキャラクターなんです。

『ダ・ヴィンチ』2024年1月号 163ページより

いのり。 できるだけ説教くさくならないようにしたいと思っています。間口を広くして、レイとクレアのコミカルなかけあいを前面に出し、楽しんでもらってから読む人を沼に落とす構造にしました。その最初の一歩が先に話した第7話なんです。同性愛のリアリティに関することをそこで少し見せて、以降も折を見てふれていっています。

『ダ・ヴィンチ』2024年1月号 163ページより

 理性的で、ギャグで人をけむに巻く…。できるだけ説教くさくならないよう…。

 う、う、う、うーん…。


 ところで、このインタビュー記事によると、コミック版作者の人が、読者からクレアが悪役令嬢っぽくないとよく言われると、語っています。

 どういう理由でクレアが悪役令嬢っぽくないと伝えているのかはわかりませんが、個人的にはキャラクターの説明の描写がまだちょっと足りていなかったかなと思います。テンプレ設定なんだからそのあたりは雑でもいいだろうということなのでしょうが。

 そもそも何故「悪役令嬢」が流行ったのかは、幾人の人が考えてきたことですが、私が以前どこかで見た「悪役令嬢は大抵金持ちの家の子だから、軽率に旅行させたりみたいなことができて、作者にとって非常に使いやすい設定だから流行った」という考察が最も腑に落ちております。「悪役令嬢」ものの主人公の性格や初期の境遇が完全にバラバラなのもそれで納得できてしまいます。


 ところで、ピッコマを閲覧してると、悪女系の作品がけっこう掲載されていて、そのなかでも『悪女は砂時計をひっくり返す』はピッコマで特に人気のある作品のようです。元々韓国の縦スクロール漫画ですが、日本で紙の本としても販売されております。

 ピッコマに掲載されている悪女系作品は主人公もけっこう悪い感じで描かれていたりして、『悪女は砂時計をひっくり返す』にしても非ハートフルな作風でした。

 そういうノリと比較すると、『わた推し』の「悪役令嬢」は確かに物足らなくなるのではないかとは思います。

 ちなみに、『悪女は砂時計をひっくり返す』は悪女の主人公が義理の妹(こっちも悪女)に復讐するという物語ですが、どうも原作小説からはいろいろと義理の妹の補完などもあるらしく、漫画としては悪女同士の義姉妹バトル百合なのではないかという見方もあるようです。上記のイベント用のハロウィンイラストを見ると、作画担当の人は百合派なのではないかと個人的にはにらんでおります。終わり。




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