宇宙色の猫 ふたつ目

『宇宙色の猫 ひとつ目』 
よければ 先に覗いてください。


宇宙色の猫は 口髭からこぼれた光の粒を 

慌てながら掬いあげた

光の粒は 掌の上で一度飛び跳ねると 

そのまま 身体の中に吸い込まれていった


『あっ…』 
 

宇宙色の猫は 小さな声を出し 

その場にうずくまってしまった


心配になり 手をかざそうとしたが

その時 宇宙色の猫が言った 


『ぼくに触らないで!』 


さっきまでの優しい口調ではなく

猫らしいキツい目をしながら

ぼくのことを見上げてきた


『どうして?』

『すごく苦しそうだったから…』


宇宙色の猫は 少しニコリとしながら 


『ごめんなさい…』

『ほんとうに…大丈夫…です』 


そう言うと 弱々しく立ち上がり

肩を使いニ度 大きく息を吸い込んだ


『あなたには 迷惑をかけられない』

『ただ… ぼくと当たり前のように過ごしてくれた人はあなたが…初めてでした』

『嬉しかった…』


背中を丸めながら

宇宙色の猫はフラフラした脚取りで

それ以上はなにも言わず 
 
ぼくの前を離れていった 


『なんだよ…』   

 
そんな言葉が ぽつりとこぼれていた

 
宇宙色の猫と別れてから

あの猫らしいキツい目を思い出し
 
緑の上で目を閉じた


瞼の裏には こうこうと闇が広がり

光の粒が いくつも燈を灯していた

ただ一つを除いては…



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