分かれ道
またあの信号機の下に分かれ道が生まれている
あれは縁石を超えたこちら側にも歪みを起こす
不安は視界を辿りながら微弱な刺激を送り込み
おいでおいでと空気を震わせては
手繰り寄せの運命を手渡そうとしてくる
「そんなモノ誰も欲しがらないはずなのに」
こんな独り言などお構い無しに
天嶺からの甘ったるい誘い風は
遠慮なく吹き込まれ続けていく
「こんなモノ誰も望まないはずなのに」
そんな独り言などお構い無しに
弾け飛んだ欠片には踊らされ
別界の空気を吸い込むことで
容赦無く裏返されていた
あの信号機の下を通りすぎた過去人と私と
あの信号機の下を流れる明日人と私は
まるで記憶を落としたかのように
あの分かれ道の上を何千何万と汚していくのだろうか
いつかこの足も
踏み入れてしまう日があるのだろうか
*おまけ
あの信号機の下の話し
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