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夏が終わらない。

 夏は変わった。11月になってもまだ終わっていないから、変わりつつあると言ったほうが正確か。冬は季節のすみに追いやられ、秋は居場所を失くしてとっくに愛想を尽かして出ていってしまった。
 これから冬も今までと同じようにはいかなくなるんだろうな。1年365日、容量の定められた器の中で夏が幅をきかせすぎたものだから、冬は肩身を狭くして、今では小指のさきほどしか残っちゃいない。

 冬は、変わらざるをえなくなっている。

 これからどうするつもりなんだろう、冬?

 30年ほど前、気象学者だったかが『50年後には仙台がハワイと同じ気候になる』と予測した。現実が予測に沿って動いている。気温は仙台に限らず上昇傾向にあるし、その成長は未だ止まる気配はない。経済成長に合わせて、しっかり右肩上がりで推移している。

 雪の消える雪国、冬の寒さは残るも夏はエアコン必須の北国。姿を変えた冬の寒冷地を思うと、二重苦三重苦を抱え込み、痛みに顔を歪めている。

 夏は酷暑で冬は極寒の地のどこに魅力があるというだろう。夏は猛暑で外出を控えるよう強く言われ、冬は否が応でも雪掻きで雪の重さと格闘する北国のどこを魅力と捉えればいいのだろう。北国、とりわけ北海道は、冬は寒さ厳しくとも夏はクーラー要らず、それがいちばんの魅力だったというのに。
 
 関東で、11月にとうもろこしが出回った。暑さ続きでとうもろこしがもう一花咲かせたことによる。
 
 人は、個人的に就いてる仕事の業績を伸ばすことでで個人的な花を咲かせることができる。金への妄信が強ければ強いほど、成功することに躍起になる。
 
 でもそんな花を社会の中でいくら咲かせても、地球にルーティンに咲く花を取り戻すことはできない。
 
 地球に咲かせる希望の花は、個人の利害とは別の花壇で、人に手を加えられるのを待っている。




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