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ネット環境の勧誘「知らない」で済ますと本当に損をする。

「もしもし、こちらNTT特約店のNTTユーエスオー商事と申しまして」
『はあ』またよくわからない特約店からの電話だった。
「現在、ウィルスバスターをお使いかと思うんですけども、ウィルスバスターはある一定の効果はありますが、複数台のパソコンをお持ちの場合、すべてにセキュリティをとなりますと、費用面でもかかる手間の面からも効率的とはいいにくく、、」
『それで、今度は何を売りたいんでしょう?』
「はい。今現在モデムをお使いかと思うのですが、そのモデムはそのままに、うちが取り扱わさせていただいているユーエスオーをですね、モデムの横に設置するだけでウィルスの侵入を防ぐという画期的なことがですね」
『ほう』
「はい。レンタルという形になりますもので料金も少し上がることになるのですが、ほかのところをこちらで調整し、料金をおさえてみますので、一度利用明細書を」

 というところまで話を聞いて、相手様の、人の思考をさらっていくような会話をさえ切らせていただいた。
 話の土台に不審点満載だ。
 第一にNTTの特約店というNTT外部の会社なのに、会社名になぜNTTがつくのか?
 第ニに、利用料を聞けば済むものをなぜ利用明細の提示を求めるのか?
 特約店という言葉の響きの持つ、どこか信用できそうな誘い水は限りなく黒に近いグレーである。

『あの』
「はい?」
『ウイルスをモデムで防ぐことができるんですか?』
「はい」と断言した。
『プログラムされているウイルスを?』
「はい」またもや断言した。
『ファイルを開いたりプログラムを展開することなしに?』
「そうですが、なにか?」

 こいつ、電話をかけた相手がパソコンに疎いと高をくくっている。あるいは電話をかけてきた彼は、知識もないのにマニュアルに従って勧誘しているだけかもしれない。
 もし彼の言ってることが本当だったら、ユーエスオーの機器がなければ、ネットに接続された世界中のパソコンが電源を入れただけで、ウイルス感染の危機に晒されてしまうことになる。

 彼の言わんとするところは、ウイルスメールを事前にはねる機能だったのではないか? だとすればあまりに不安の煽り方が過ぎる。
 対策にはほかにもフィッシングやマルウエアなどが必要になってくるのだけれども、それらはモデムのゲートでどうにかなるようなものではない。そうした事情にふれもせず、やり取りは不安増長に終始していた。

 ウイルスメールをはねてくれる機能はプロバイダから提供されている。このことを知っていれば、重複する機能をあえて取り入れる必要はない。
 もし彼がウイルスメール防御機能を売り込みたかったのなら、営業トークに偽りと呼べる虚はなかったといえるだろう。不安扇動をテコに契約を取りつける! という魂胆があっただけだ。
 この類の営業には、嘘(USO)はなくても親身の親切もない。
「お宅様のプロバイダ契約に、ウイルスメール防御機能がついているかどうか、一度お確かめになられたほうがいいですよ」なんてことは口が裂けても提言してくれない。
 嘘(USO)はないかもしれないけれど、本当のことは伏せる。知られてまずい真実を隠すという意味において、すでに良心を偽っている。

 あちらさんだって商売だもの。
 快適で安心・安全なセキュリティを提供しているという大義にすがり、多少の犠牲には目を伏せて、営業の声に力を込める。
 となると、残るは受け手の問題となるのだろうか。知らない者が損をする、そんなふうにしか見えないのだけれども。 

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