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時代が変えようとしているんだね。

 iOSの重宝する機能に辞書がある。

 ある日簡便シンプル解答のGoogle翻訳で『exonerate』を調べたら「無罪を晴らす」と訳文が表示された。おかしい。これは間違いなく間違っている。無罪を晴らしたら、有罪になってしまうではないか。そんな表現、常識では考えられないぞ。
 そこで、iOSの辞書を起動して調べ直した。「疑いを晴らす」「無罪を証明する」と表示された。これならBBCに掲載された記事の内容に合点がいく。

 世の中、偉そうな顔をしていたって、間違ってることなんてザラにある。幾重にも校正し何度も校閲の目を通しても雑誌や新聞に誤植があるように、社会にも誤植がある。

 情報配管が狭かった頃は、誤植は間違い探しをしているみたいで楽しめた。だが情報水路が縦横無尽に張り巡らされた現代のネット社会は、誤植ならぬ誤認の地雷がわんさか埋まっていて心穏やかではない。どこが、あるいはどこで起爆するのかわからないのだ。

 時代は個人に自己完結を求め始めたのだと思った。

 気軽なサラリーマン稼業では確定申告も納税も煩雑な手続きは会社がみんなやってくれるし、ブラック企業勤務者は残業野放図でろくに食事が摂れなくてもコンビニが最後の砦として君臨しているおかげで不健康と引き換えにはなるけれども食の道は確保されているし、小中一貫、中高一貫などという教育環境はほとんどぬるま湯状態で、なんやかやと国民を甘やかし「どーんとまかせとけ」といった親方日の丸、どこまでも天下泰平の顔をして居座っている。
 だが水面下以上に不気味に張られたネット網は、お間抜けな平和面に冷水を浴びせようとしているのだ。

 今や嘘もあれば騙しも蔓延。いや、嘘や騙しは昔からあったのだけれども、かつては大間の一本釣りだったのが、今や世界レベルの巨大投網なんだもの。フィリピンから投じられた罠に日本在住の国民がごっそり獲られる時代なんだぜ。なにそれ? って感じ。珍百景じゃあるまいに、時代は地面の奥の方から景色を一変させようと狡猾にコトを進めている。

 マスコミは「お知らせします」とあくまでも当事者と視聴者を結ぶだけのイタコに徹した責任取らずの第三者スタンスだし、専門職者が発信する情報だって発信者の都合のいいバイアスがかかっているし(経済社会では正当化されてるから否定はしない)、正直者だけが築いた知識や貯蓄を砂の山を足元から削られるようにして搾取されてく世の中だ。

 正直者諸君、それでいいのか?
 地雷は小さなものから大きなものまで埋まっている。踏むも踏まぬもあなた次第。競馬予想新聞片手に行く道を決めていくもいい。それもあなたの自己責任。他所の情報を頼っても、一度あなたが決めたならそれはあなた自身の責任で。

 できうるならば、あなたなりの芯で臨んでいくのが望ましい。得するかもしれないし、損をするかもしれない。得するのもあなただし、損をするのもあなたなのだ。

 今の時代、自己完結でやっていかなければならない。でないと、築いた砂山がさらに侵食されていっちゃうし、盗られた後悔がずっとついてまわることになる。虚偽の『安全地帯』に導かれたままだと、ドカンとやられて深傷を負っちゃうかもしれないよ。

 だんだん守ってくれなくなってきているんだよ。時代はあなたに自己保身を考える機会を広げ始めているんだよ。


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