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猫の自覚。

 不埒になるのは、女も男も。
 ちょっとした「いいな」が火をつけて、燃えて上がりたる情念の炎。マッチのように擦った直後が恋の花。
 
 ちょっとした「いいな」のはずだったのに、いいことしたら世界が変わる。目くるめく世界も味わえる。ドーパミンにあふれる至福の瞬間もある。全力で疾走して心地よいゴールを迎えることもある。一度だけじゃ飽き足らなくて、ついおねだりしてしまうこともある。
 そんなあれやこれやは、たいがいは公共の場にそぐうことなく、人前ではタブーの箱の中にしまわれている。ほとんどの場合において。
 
 だから、しでかしたら最後、ちょっとした後ろめたさがつきまとう。他人様から気取られないように用心深くあらねばならないと腹づもり。
 だけど人と違ってあいつには少し抜けたところがある。
 
 たいがいの場合、猫は自分の悪さを自覚している。それがしっかり顔に出る。
 
 野良雌の仔猫の父親、君じゃない?

【いいえ、たぶん違います。逆算すると、タイミングが合っていませんから。】

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