春の嵐を超えたあと。
春一番がテープを切ると、続々と二番手、三番手がゴール目がけて駆け込んでくる。春の選手団全員が走り切るまでつづく春の嵐。
私はこの時期の強風が嫌いじゃない。降る雪を唸らせる吹雪の風とちがって、怖くない。心細くなることがない。忍耐の冬を吹き飛ばしているようで、洗い流していくようで。
飛散するアレルゲンを吹き飛ばしてくれているようでもある。もう少しのがまん、と背中を押されているようでもある。
今日も朝からびゅうと吹く風が窓ガラスを震わせている。その勢いもすごいけど。耐えるガラスもすごいけど。
風が抜け切ると、初夏が待っている。真夏に切り替わる直前の、わずかな隙間に現れるファンタジー。私の心はすでにそこにある。そこまで行けば、花粉症も終わる。
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