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見上げる先の幸福。

「あなたに言葉が喋れたら、きっと『貴女も見上げてごらん』と言っている」
 ンニャ。
「私はあなたにいつだって教えられている。『下にばっかり目を向けてないで、たまには空を仰ごうよ』」
 ニャ。
 人の視線は、ほとんどが並行移動。自分の目の高さでしか物事を測れない。なのにあなたときたら、その柔軟なバネを生かして、塀の上、屋根の上と自由自在。おまけに目玉も上下左右によく動く。「上がり目、下り目、ぐるっと回ってにゃんこの目」って歌われるくらいだものね。
 
 あなたはいつだって私を見上げてる。見上げてくれる。ごはんをねだる時ばかりじゃない。かまってほしい時、甘えたい時、眠くなった時、寂しくなった時。いろんな場面で私を下から掬うように見上げてくる。
 私はその見上げる無垢な目に救われる。
 
 明日もまた頑張れる。そう思わせてくれる。
 
 あなたに教えられたから。上を向いて歩けば、きっといいことが起こる。
 ンダニャ。
 
 このようにして、またひとつチュールを開ける。
 
ーーーー(幸せは、見上げる先にある)猫ーーーー

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