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人生には答えの出せない問いが多すぎる。

「犯罪者は被害者になればいいのよ」と痴漢に絶えない女が言った。「私人逮捕系ユーチューバーは、痴漢撲滅の影のガーディアン」とも。

「いい気味だわ。こっそり撮った輩は獲られて当然。お灸を据えなきゃ炎上以上にすけべ心が燃え上がる。つけあがらせないためにも、私人による吊し上げは必要よ」

「SNSでちょいと私人取り締まりの噂を流せば、痴漢も盗撮魔もたちまち身をすくませるの」

「肝も根性も座ってないのに、妄想とズボンを膨らませ、欲望にまかせて行動しちゃうからあんなことになるんだわ。ゆすられて、いい気味」
 
「あんた、やられたことないの? 幸せもんだわあ」
(経験してみたいけど、タイミングが悪いのかな?)
[食事にも好みがあるし、万人に受けない料理もあるからね。あなたは遭わない幸せをかみしめるべきだわ、うん]
 
「あー、また捕まっちゃた、私人逮捕系ユーチューバー」
『ゆすりも犯罪だからね』
「目には目を。痴漢には脅しを。理になかってない?」
『権限を与えられていない正義の行使は、煽り運転と一緒だけどね』
「それでも…」
『それでも』
 
 悪い輩は無からお金を練り出す術に長けている。だけど所詮は浅知恵。ある知恵と思って絞り出した方法で法をすり抜けたつもりでも「交換条件は出していませんよ。こちらから金額を提示するなんて馬鹿な真似は。で、盗撮現場の証拠映像を消去するですってぇ? そんなことしたら犯罪になっちゃうじゃないですか」という言い訳は、『ゆすられました』と被害者面の痴漢犯(もしくは盗撮犯)からの証言で、いとも簡単にひっくり返り、お縄となるのでありまする。
 
 で、当の痴漢(盗撮)君は。
 運命は変えられないものでございます。
 警察官の「あ、君にも訊きたいことがあるから」の首根っこ掴みのひと言で、みごとお縄となりまする。
 本官にしてみれば一石二鳥。犯罪がネギ背負って捕まりにやってくるようなもん。労力半分で手柄は二倍。 
 
 犯罪のニュースは耳にするたび気持ちが重くなる。せっかく年が明けて気分を一新したっていうのにさ、出鼻をくじかれたきぶんになる。
 被害者は出ないに越したことはないけれど、逮捕のニュースが抑止効果を発揮するならば、今が我慢のしどころと言えるのか?
 
 人生には答えの出せない問いが多すぎる。今年もまた難儀な1年になりそうだ。
 

【見逃しません、獲るまでは】

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