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地固め。

 怖い映画を観たくなるのは、その時の幸せを測りたいから。幸せを切に願うのは、その時の漆黒の闇を払いたいから。
 では今はどんな状況?
 今の現実を知るには、気持ちがどこを向いているかを見つめることさ。顔を向けた背後に、あたいの本心がぽつんと佇んでいるんだよ。
 人はいつだって真ん中を支点に、反対方向に目を向ける風見鶏。吹かれる風量に応じて、強くも弱くも勢い変えて、綱渡りの一本橋を巧みに渡ってく。
 
 今までそうしてきたように、きっとこれからも。
 だいじょうぶ。経験が膨らめば、辛さの痛みはより切実に激しさを増すものだけど、橋の渡り方には磨きがかかってくるものでして、なおさら賢く、狡く、巧妙に橋を渡っていけるようになる。
 
 老い先の短い人生ならぬ、追い先を見通しながらの人生ならば、まだまだ頑張ってやっていけそうな今日このごろなのでして。
 
 

【悟りを開いたようでいて、それでも迷ってしまうのが人生というものでして】

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