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 優先順位があって順番が変わることはあるけれど、理性が暴れる感情を抑えられれば整合性を持って順番は決められる。順番は必要に応じて絶えず変化させるものなんだ。
 能力に左右されるけど、絡み合ったToDoリストを解いてきれいに並べ替えることだってできる。
 このようにして、順番というものは決められていかなければならない。
 限定100名様の○○が発売になっただって? それがどうしたの? そんなに急いだって、間隙に電話が繋がることもあるだろうに。電話をかけまくる前にすることがあるでしょう? 今この瞬間にどうしようったって、どうにかなるかもしれないけど、どうにもならないかもしれない。世の中ってそういうものでしょ? 抗ったって、まわってくる順番は飛び級みたいに力技でどうにかできるものじゃない。
 誰だって服を脱がなきゃお風呂に入れない。それと同じ。物事には順番があるんだ。

 この説明でわかってくれたかどうかはわからない。だけど順番を判断しなければならない場面に直面すると、彼女は決まって「お風呂に入る前に服を脱ぐようにね」と口にするようになった。

 わかってくれたんだか揶揄からかわれているのか判断のしようのない投げかけが続いたけれど、なんとなくそれでいい、と内心で曖昧に頷くことにした。そうすることが、その時の役割のような気がしたから。

 順番を間違ってはいけない。直属の上司を飛ばして役員に話を持って行ってはいけない。ガソリンを入れる前に高速道路に乗ってはいけない。ご飯を炊く前におかずを作ってはいけない。器を出す前に猫に餌を見せてはいけない。
 順番さえ間違わなければ、入浴後いい風呂上がりだったときっと納得する。

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