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離れてから便壺に到達するまで間があった。あのころは、何においても離れてから到達するまで…
真空の空間に放ったように、レールの継ぎ目を通過する列車の車輪が、乾燥し切った音を、経過…
時間はいっぱいあったはずなのに、上を目指せと歩いていたら、存外なところまで来ていたよ。…
豆腐は1丁50円前後のものでよかった。頓着がないから安いものでかまわない。あんまり好きな…
訃報が届くと心が痛む。たとえその人と面識はなくても、知ってるだけで悼んでしまう。向こう…
魚は天日に干されて美味くなる。 人は会社で干されてまずくなる。 干されていいのも、…
不安はぶよんぶよんと歩く足取り鈍らせる。期待はぼわんぼわんと踏み込む一歩ずつを弾ませる。僕らが履いているのは気持ちの上げ下げを歩く心の靴だ。ときにシャボンみたいに光の虹を纏っては煌めき放ち、屋根まで飛んではじけて消えたりなんかして。 一度消えてしまっても、へこたれるわけにはいかない。また吹いては空に放ち、鼻歌の音階を上げていくんだよ。ときに下がったりもするけれど。 まるで僕たちは音符製造機そのものじゃないか。 そうは思わないかい? 闇に一閃、甲高い高いシの音を奏
人は自分の弦を調律しながら生きている。新聞を時短のトイレで読みながら、焦げ付きに細心の…
一命、一口。 口べらしに、口座に、人口だ。人の命ってひと口、ふた口って数えるものだった…
「仕事とはなにか、か。 君は難しいことを簡単に訊くんだね。 そうね、たとえれば、遊び…
人はときにウサギになり、カメにもなる。引き離したつもりでも、油断大敵、いっときの気の迷…
人には魅せられるものがある。でなければ夢は描けない。 生き方に、考え方に、創り出した…
擦過音を伴いながら、そのノイズは細い管を経由して、生きながらえるための養分を送り込んで…
遮光カーテンを開けると、たちまち朝日の粒子が飛び込んで、部屋の中で遊び出す。 眩しい朝に目を細める。 眩しさにはすぐに慣れ、それに合わせるように体が朝を受け入れ始める。 外は遮光されることなく宇宙まですこんと抜けた青空の朝だ。 地上でじわり時間をかけ味わうように赤く染めながら明けてきた朝の明け切ったところを後追いで捕まえた。 カーテンは玉手箱だ。経過した時間に気づかずにいても、経年を諭してくれる人生の訓示。浦島太郎は玉手箱を明けて老け込んでしまったけれども、