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アパレル業界注目のテクノロジー

今回はマーケター目線で、アパレル業界で実施できるけどまだやっていない(であろう)施策を提案してみます。気になるものは目次からジャンプしてご確認ください。

来店計測①

美容室や保険ショップなど、予約が前提となる店舗の場合は来店数を計測することができますが、不特定多数が出入りする店舗の場合その計測ができません。近年はGPSの精度が向上したため、緯度・経度の計測はかなり正確にできるようになりました。しかし多くのアパレルショップはGMSや商業施設ビルに入居しているため、フロア階層という問題が発生します。そのためGPSを使用した計測を使うことができません。たとえば自分たちのショップが2Fにあり、3Fの同じ位置に映画館があったとします。すると映画館の客数までカウントしてしまうのです。これでは正確な来店数は計測できないですよね。

ここに対するひとつの解決策として使えるのが防犯カメラです。店舗にある防犯カメラ(ない店舗も存在するでしょうが)の映像を画像認証AIの機能を通すことで来店数をカウントすることが可能になります。この場合、二つの認証ルートがあり、ひとつは録画された映像を認証にかける方法。もうひとつはリアルタイムで認証をかける方法です。当然後者のほうがリアルタイムにわかるぶん、本社やSVなど、リアルタイムで店舗の状況を確認できない立場の人にとって有益な情報となります。しかしながら後者の場合はネットワークの速度などが必要となるため、場合によってはインフラ系の設備投資が追加で必要になるかもしれません。

たとえば毎年同じ時期に必ず行われるセール。今年はセールの客足が鈍いと個人的には感じているのですが、定量的なデータとして取得できるのは、あくまで「購入客数」です。店舗に来た客数を計測することはできません。

ではなぜ来店客数をカウントする提案をしたのか?それはビジネスのボトルネックを探る手がかりとなるからです。そもそも客数が少ないのか、それとも人は来ているけど購入に至っていないのか。正しいファネル管理をするうえで、来店数はぜひ取得したいデータです。


来店計測②

①はunknownな来店計測です。あくまで店舗の来店数を計測するための施策です。ここでは「特定の誰か」の計測です。

特定のユーザーの来店計測をする方法はいくつかあります。wifiやビーコンを使用した計測がその主要なものですが私のおすすめはLINEビーコンです。特定のユーザーの来店計測をする場合、その裏でユーザーIDを取得しておく必要があります。

ECサイトの会員情報⇄メールアドレス⇄LINEUID

上記の紐付けを実施し、LINEビーコンを設置することで「特定の誰か」の来店を計測することが可能となります。そうすると、例えばECの閲覧履歴に基づいた試着サジェストや特別オファー(ディスカウント)などをLINEを通して行うことができます。この場合、CRMとしてSalesforceを、MAとしてmarketingcloudやMarketoを使用することで様々なイベントをトリガーとしたコミュニケーションが可能となります。アパレルメーカーとしては、なるべくオーガニックの価格で購入してもらいたいはずです。そのためには、ユーザーとのパーソナライズコミュニケーションを行うことが大切です。そのパーソナライズコミュニケーションを行うためのトリガーとして、来店計測は重要な施策です。

(ちなみに、なぜ近年ビーコンが主流になったのかを説明すると、ビーコンはbluetoothを使用しています。最近のスマートフォンはOS側でbluetoothがデフォルトでオンになっている場合が多く、取得できるユーザーが圧倒的に増えたからです。また、ワイヤレスイヤホンの普及もbluetoothの常時オンを後押ししています。)


インハウスアフィリエイトプログラム

アパレル業界ではインフルエンサーを起用したマーケティング施策を多数実施しています。これらは主にSNSを通じて、成果報酬型で行われています。いわゆるアフィリエイト広告です。他の業界では、クレジットカードや保険相談、化粧品などでも盛んに行われいる、インターネット黎明期からある広告のスタイルです。インターネットが普及して20年以上になりますが、このアフィリエイト広告はASPと呼ばれる計測システムを通して行われていますが、裏のシステムがほとんど変わっていません。

このASPには大きな問題があり、それはトラフィックの計測がASPを経由することで分断されてしまうということです。もちろん計測できる場合もありますが、多くの場合、自社サイトにユーザーが来た時点で参照元がわからなくなってしまいます。たとえば、hogehoge.comというサイトからA8.netというASPを経由した場合、参照元はA8.netとなってしまいhogehoge.comというデータがどこにも残りません。また、ASPは最終アシスト(刈り取り)しか計測できません。そのためアフィリエイト広告はどうしても刈り取りに特化したコンテンツになってしまいます。端的に言えば価格勝負の訴求ばかりになってしまうのです。これはブランド価値を毀損する可能性もあり、ブランディングが大切なアパレル業界においては懸念材料となりがちです。

ここで紹介したいのは、パートナライズというインハウスアフィリエイトシステムです。このシステムを使用すると、ASPを介す必要がないため、まずASP利用料が不要となります。当然トラフィックも参照元が正確に計測できるようになります。そのためアフィリエイトにありがちな、アフィリエイターのグレーな動きができなくなり健全なアフィリエイト環境を構築することができます。

また、パートナライズ は全てのトラフィックをデータベースに保存できるので、最終アシスト以外のトラフィックにも報酬を支払うことができます。たとえば最終には報酬の80%を、初回接触には20%をといった支払い形式が可能となります。これによりアフィリエイターは刈り取り以外の認知系のコンテンツでも報酬を受け取ることができるため、施策の幅が広がり、ブランド価値を毀損するようなオファーを出す必要がなくなります。

まとめ

アパレル業界は近年、急速にデジタル投資が増えています。今後もその傾向は変わらないでしょう。そこで重要なのは、他社と同じことをしないことです。当然正しいベクトルでという前提がありますが、他社と異なる視点・施策を実施することで、競争に勝ち抜くことができるはずです。なぜならどこに行っても同じようなプロダクトが並んでしまっているのですから。


(注)この記事は今後も加筆する可能性があります。



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