本来の目的地からだいぶ逸れて、、
昔から引っ越しがとても多かった私にとって、「地元」と呼べる場所がないけれど、
それでも、たまに訪れると当時の思い出と共にすごく懐かしい気持ちになる場所がいくつかあるので
今日はそのときの出来事のうちのひとつを書こうと思う。
その日は9月の半ばのよく晴れた日で、夕方になってもまだまだ暑かった。
本当はその日買い物をするはずだったのだけど、
たまたま昔住んでた場所の近くまで来たので、なんとなくプラプラすることにした。
昔よく行ってた大きな公園も、気の遠くなるような長い坂道も、
自分が成長したんだと体感するくらい小さくなっていた。
当時小学生だった私は、家から学校まで歩いて20分の距離を登下校していたのだけど、
小学校低学年のわたしにとって20分歩くという距離は結構長かった。
そのせいで、家と学校の間にある八百屋さんに寄っては、我慢出来ないトイレをよく貸してもらっていた。
ただ、それ以外でもひとりでおつかいにも行ったり、お母さんと一緒に買い物に行ったり、
とにかくその八百屋さんのおじさんがいつも優しくて居心地がよくて、とにかくよく行っていた。
そんな八百屋さんにその日立ち寄ってみたら、白髪の小さなおじいさんがいた。
20年前に私がよくお世話になっていた八百屋のおじさんは、白髪の小さいおじいちゃんになってたけど、20年前と同じようにまだその八百屋さんでお店を営んでいた。
ドキドキしたけど挨拶をして、名乗ってみたら
覚えててくれて、本当に嬉しかった。
私の家族が突然引っ越してしまったから心配していたらしい。
そして、
わたし以外にも、今でもこうやって私みたいに訪ねてくる人がいるんだ、って言ってた。
おじいちゃんの人柄なんだろうなぁ。人を寄せつける人はすごいなと思った。
今でも現役で働いてるおじいちゃんみれて本当に嬉しかったけど、80過ぎになったおじいちゃんは、最近体が辛いんだって言ってた。
最後は「体に気をつけてね」って言われて、バイバイした。
おじいちゃんこそ、いつまでも元気でいてね、と思った。
「地元」なんてないと思ってたけど、
単純に、嬉しかった。
ありがとう。
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