見出し画像

【就活】SI業界の職種別、年収と残業時間・勉強時間

はじめに(当記事の目的)

就活中には自分のキャリアとしてどんな職種を選ぶべきか考えると思います。そこで今回は、SI業界の職種別に年収・残業時間・勉強時間をまとめましたので、就活の参考にしていただければと思います。

本記事の対象者

SI業界に興味のある就活生あるいは転職者

当記事の出典元データ

今回の記事で紹介するデータは、2017年に経済産業省が公表した「IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果」のほか、様々な調査結果をもとに記事を作成しています。参考文献は記事後半に記載しておりますので必要に応じてご確認ください。

それではさっそく本題に入りましょう。

(IT職種別)年収

出典:筆者作成資料

国税庁の調査によれば、2021年の日本の平均年収は443万円とされています(正社員に限ると508万円)。一方のIT職は600万円〜900万円で、日本の平均値よりも100万円以上高い職業だとが分かります。

現代のIT戦略は企業の競争優位性を左右するほどに重要とされており、どの企業も積極的にIT投資をしています。結果、IT企業にお金が流れ、その配下のIT職の年収も上がっているという仕組みです。

ITコンサルタント

ITコンサルタントの年収が高いのは、それだけ顧客企業から支払われる単価が高いからです。売上UPあるいはコスト削減によって利益が確保できるのであればITコンサルに高い報酬を払っても問題ないわけですね。

また、ITコンサルタントは無からプロジェクトを生み出す(顧客からIT投資を引き出す)職業とも言えるので営業的な側面を持っているのも特徴の1つです。

SIerにおいてはプロジェクトの有無が売上増減に直結するのでITコンサルが在籍するかどうかは大きな武器となります。野村総研はコンサル部隊を持ちながらプロジェクトを生み出しており高収益として有名です。

プロジェクトマネージャ

プロジェクトマネージャはSI事業(システム構築の受託)で最も重要な職種で、プロジェクトの収益はプロマネの能力次第と言っても過言ではありませんし、そもそもプロマネを担う人材がいないとプロジェクトを請けられません。このため大手SIerにとってプロマネは高い報酬を払ってでも確保したい人材なのです。

一方、顧客企業の中には「プロマネって何で必要なの?」という人も少なからずいます。エンジニアがいれば開発できるよね?と。こういった人たちにプロジェクト管理費用の説明をするのにはいつも骨が折れます。

ITアーキテクト

続いてのITアーキテクトは、新しいシステムを構築する際に必須となる職種で、昨今のようにオンプレからクラウド移行のようなプロジェクトでも重宝され、人材不足でシステム企画(基本構想)に着手できない状態になったりもするほどです。そういう意味でもプロジェクトを始めるための職業であり高い報酬を払ってでも確保したい人材でしょう。

基本的にはITスペシャリストからITアーキテクトへのキャリアパスとなるので、ITアーキテクトの方が年収が高くなります。

ITスペシャリスト

ITスペシャリストは、基盤構築や基盤更新の際には必須となる実働部隊で、プロジェクトの要件定義・設計・実装といったシステム構築工程で稼働する職種です。

アプリケーションスペシャリストのような人数勝負ではなく、少数精鋭部隊で対応する仕事なので多重下請け構造になりにくく、一人一人の単価は高くなります。

アプリケーションスペシャリスト

アプリケーションスペシャリストは、アプリ構築や改修の際に必須となる実働部隊で、要件定義→設計→実装となるにつれて人員が多くなります。大きなプロジェクトでは実装工程のみの短期間でスポット的に人材を確保することもあります。

上流工程から下流工程まで幅広く担当できる人材と、実装工程のみに参画する人材とだと、どうしても後者の方が単価は低くなってしまいます。加えて、応援部隊は2次下請け、3次下請けから手配されることも珍しくないので報酬は抑えられる傾向にあります。

ITサービスマネージャ

最後のITサービスマネージャは主にインフラ系の運用を担う人材です。サーバ管理者をイメージすると分かりやすいと思います。親会社が構築したシステムをグループ子会社が運用保守を引き受ける形態が多いですね。

一般的に、システム構築の上流工程に参画する職種の方が年収は高い傾向にあるので、運用工程に特化しているITサービスマネージャの年収は抑えられがちとなります。

ただ、運用工程は要員の増減が少ないことから多重下請け構造にはなりにくいので、アプリケーションスペシャリストの平均年収とだいたい同じぐらいになるようです。

(IT職種別)残業時間・勉強時間


出典:筆者作成資料

続いて、IT職種別の残業時間と勉強時間です。
日本の平均値と比べると、IT職種は残業時間も勉強時間も多い傾向にあります。イメージ通りですね。

IT職の残業時間は20〜35時間となっています。

残業20時間は準委任契約(SES契約)の精算時間幅が+20時間迄とされることが多いからで、上限値の残業35時間は36協定による残業規制が関係していると推察されます。

IT職は勉強時間も何となく多いイメージがあると思いますが、それは仕事で必要となるIT知識の変化が早く都度学習が必要になるのと、TOEICやIT系の資格取得が昇進の条件になっていたりするからですね。

職種別に見ていきましょう。

ITコンサルタントは専門分野によりますが、IT技術動向に加えて顧客や競合企業の動向など幅広い知識が必要で、そもそも実力主義・成果主義の世界ということもあって勉強時間は長めです。

プロジェクトマネージャについてはアプリ系なのかインフラ系なのかによって変わりますが、インフラ系だとIT知識が多く必要とされるので勉強時間は長くなります。

ITアーキテクトやITスペシャリストは技術動向・技術知識が必要不可欠な職種であり、情報処理技術者の資格に加えてベンダー系の資格取得が必要な場合もあるので勉強時間は長くなります。

アプリケーションエンジニアは他の職種と比べるとIT知識がさほど必要とされず、どちらかというと業務知識重視なので個人学習は少なくなりがちです。(IT系の中ではIT音痴になりやすい職種)

ITサービスマネージャも既存システム運用を担う職種なので勉強時間は比較的少なめ。ただアプリ系よりは技術知識が必要で、昇進の条件にベンダー資格の取得があったりするので勉強時間はやや長くなります。

(IT職種別)年収、残業+勉強時間

出典:筆者作成資料

最後に年収と残業時間・勉強時間をまとめてみました。年収が高い職種は残業時間と勉強時間も多めだということが分かります。これもおおよそイメージ通りの結果ではないでしょうか。

こういった資料を見ると、新卒入社直後の能力がほとんど同じだとしても日々の業務や勉強時間に比例して能力に差がつき、それがそのまま年収に反映されているように感じます。

あと個人的に思うのが、昨今のIT業界はテレワークが普及して通勤が少ないので、数字以上に自由に使える時間は多いように感じます。通勤があるとそれだけで束縛される時間が往復1〜2時間ほど増えてしまいますからね。

おわりに

今回はIT職種別の年収・残業時間・勉強時間についてまとめてみました。「IT業界は年収は良いけど残業時間・勉強時間が長め」というイメージ通りの結果となってしまいましたが、職種別の特徴は最初のキャリアを選ぶ際の材料にはなるかもしれません。

では今回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事
【業界研究】大手SIerの年収・時給換算ランキング(最新2023年)

参考資料、参考リンク

IT関連産業の給与等に関する実態調査結果-経済産業省

我が国におけるIT人材の動向-経済産業省

令和3年分 民間給与実態統計調査-国税庁

毎月勤労統計調査 令和4年4月分結果確報-厚生労働省

平成28年社会生活基本調査の結果-総務省

更新履歴

2023年2月4日 初回公開
2023年2月11日 日本の平均年収を修正

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?