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何もない8月31日はこんなにもすがすがしい

正社員で働いていた会社を辞めた。
5月くらいから今の仕事が急に嫌になり、6月に上司に相談、7月末に退職。

有休は2週間くらいあった。2週間も休むのなんて学生以来だ。7月の半ば頃から残った有休を消費して、2週間たっぷり休んだらまた働こう!

……と思っていたけれど、

「……待てよ、多少貯金もあるからすぐ働き始めなきゃいけないこともないし、
8月は無職で過ごしたっていいのでは!?
生まれて初めての、何もない休みを錬成できるのでは!?

若い頃は時間があるけどお金はない、歳を取るとお金はあるけど時間がない、とよく言うけれど、社会人の休暇は本当に少ない。
有休を使ったとしても、まとめて1か月も休んだらクビになる。それをやるには自営業になるしかない。

空白期間ができることに恐怖はあったし、会社を辞めて根無し草になった上に遊び呆けることは不安だったけれど、こんな機会は二度とないと思い切って休むことにした。7月中旬から8月31日までの夏休み。小学生とほぼ同じ期間だ。そのうえ宿題もない。

最高だった。

大人の自由な夏休み、最高。

思えば小学生のときは宿題が常に頭の片隅にあったし、習い事は行かなきゃいけないし、案外忙しかった。

中学、高校もなんだかんだ部活、課題、夏期講習、受験勉強やらで潰れ、なんと大学になっても休み明けの試験の勉強で潰れた。

ずーっと、ずーっと、やらなきゃいけないことに追われていた。

なんにもしなくていい、って日を生まれて初めて経験して、「ああ、疲れてたんだなあ」って気付いて、すこし泣いた。

ちなみに何をしてたかというと、

・小説を書いて新人賞に応募する
・近くの図書館で気になった本を片っ端から読み漁る(結局小説の書き方の本ばっかり読んでいた)
・同人誌を作る
・イベントにサークル参加する(7年ぶり2回目!)
・加入していたのに全然使ってなかったアマゾンプライムビデオで気になった作品を手あたり次第リストに入れる
・何もやる気が出ない日にそれを観る
・絵を描く
・漫画を描く
・ちょっと近場に一人旅をする
・友達とスイーツビュッフェに行く
・前から行きたかった高円寺でふらふらする
・前から食べたかった新カステラを食べる(めっちゃ美味しかった)
・毎日図書館には行けないのでAmazon Kindle Unlimitedに加入する(でもあんまり読めてない)
・Apple musicにも加入する
・MIU404にハマって毎週実況しながら泣く
・クリップスタジオというお絵かきソフト、5年も使ってるのに使いこなせてないなあと思って背景美塾さんに習いに行く(デジタル美塾という3日間の講座。めっちゃオススメ。クリスタの真価を発揮できてない自覚のある人は行くべし)

そんな感じでした。
遊んでばっかりとはいえ結構色々なことやった気がする。

そして今は8月31日締め切りの北日本文学賞に送るための小説を書きながら、息抜きのためにこのnoteを書いています。
1万字ちょっとの短編だしそんなに大変じゃないと思っていたけど、うまくまとまらない、微妙に文字数が足りない。そもそもこれ面白いのか、誰が読むんだ?などと無意味に落ち込みながら、毎日少しずつ進めています。

せっかく自由な夏休みを作ったのに、結局宿題のようなものに追われている……。
でも、めちゃくちゃ楽しい。
人に押し付けられたんじゃなくて、自分で作った宿題だから。

学生のころは学校が世界の全てで、普通でいるためにやらなきゃいけないことがいっぱいあって。でも逃げだしたら、一度道を踏み外したらおしまいだって親や先生が脅かすから、辛くても逃げちゃいけないと思ってた。

そのうえ、学校で嫌なことがあったり、人間関係が上手くいってなかったり、家族にもそれを話せるような人がいなかったら。
身近に憧れられる大人がいなくて、社会人はみんなつらそうな顔で働いていて、やりたい仕事もなくて、将来に何の希望も見いだせなかったら。

もう面倒臭いなあ、死んだら全部この面倒ごとが無くなるのになあ、なんて思うことは、とっても自然なことだと思う。

でも、大人になったら、すっごく楽しかった。

自分で稼いだお金で、好きな時に好きなものを買える。一人暮らしなら、夜中に家を出ても怒られないし、好きなものばっかり食べてもいい。

仕事はしなきゃいけないけれど、嫌になったら辞められる。学校を辞めるときみたいに、両親の許可は必要ない。

嫌いな人ができたら、自分の気持ち一つで離れることができる。卒業式まで我慢しなくていい。

学生の時に感じた閉塞感は、本当に学生の時だけのものだった。大人になったら、世界はぐんっと自由になった。

だから。まだ独り立ちしていない子どもたちは、いま何の希望も持てなくても、どうか悲観的にならないで、どうにかこうにか、自分でお金を稼げる歳まで、頑張って生き抜いてほしいなあと思います。

親や身近な大人が頼りにならなくても、今はインターネットがある。検索で知りたいことを入力すれば、必ず相談先がいくつか見つかるはず。

スマホもパソコンも家になくても、町の図書館には無料で使えるパソコンが必ずあります。

図書館、無料でいくらでも本が読めるし、本当にすごい。この休みに久々に図書館に行ったらめちゃくちゃ感動しました。

困っているとき、悩んでいるとき、行き詰まったとき、苦しいとき。本がいっぱいあるところに行って、とにかく気になったものをひたすら立ち読みしてみてください。結構いい感じに前向きになれます。人間の悩みなんてそんなに多様ではないので、大体既に悩んで本に書いている人がいます。

良かったら私に相談してくれても大丈夫です!!!

本(とインターネット)のいいところは、友達がひとりもいなくても相談できるところです。

長くなってしまいました。

私も、9月1日からまた働き始めます。休み始めた時は将来の不安に死にそうになったりして、早く働かなきゃ…働かせてくれ……と部屋で震えていたんですが、8月の終わりが近づくとやっぱり別に働きたくはないわ……と思い直しました。

大人になっても普通に休みたいし仕事は行きたくないものです。大人になったらみんな仕事大好き人間になって夏休みが3日しかなくても元気だと思ってたけど、そんなわけなかった。

でも、子どもの頃に想像していた人生よりも、今の人生はずっとずっと楽しくて。

こんな挫折といえるような出来事すらお気に入りで、今が一番幸せだと思うのです。

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