君の隣は
君の隣は心地がよかった。
どきどきして、その音が伝わらないか
心配だったけれど。
君の隣は眩しかった。
いつも直向きに夢に向かうその眼差しが。
君の隣は苦しかった。
追いつきたくても追いつけないほど、
遠くを走っている気がして。
君の隣は優しかった。
言葉の温かさをいつも近くで感じられたから。
見ていないのにみえている、
そんな人だった。
あの頃の私にとって、
この世でたった1人、多くを語らなくても
心が近くにある、そう感じる人だった。
選んだ道のためなら全てをふりきる。
わたし達は少し似ていたのかもしれない。
隣にいることも、向き合うことも、
言葉を交わすことも、もう二度と叶わない。
それでも今も願ってしまう。
君の命を繋ぐ、そんな思い出でありたかった。
この世も捨てたもんじゃないと思える、
そんな思い出になりたかった。
私にとって君の隣は、
そういう場所だったから。