見出し画像

二千年海を旅する人、旅をやめる

2037年から2064年の間に、
彼は旅をやめてしまうだろうと
告げた者がいる。

それはまるで、
彼の死を意味しているようだ。

彼が旅をやめれば、
赤道の夏は冷めず
北の国は暖められない

彼が分けてくれる
この世界の海の生き物たちのエサは
分配されなくなる。

彼をよく知る者たちは、
その予言が真実になり得るか
語り合っている。

願わくば、嘘だと言ってほしい。

その予言が真実になり得るか
そうでないかは一旦、横に置く。

彼が旅をやめた世界で
どうやって生きることができるか。

その物語を描くことはできるのか。

不安など微塵も感じたくはないけれど、
起こりうる未来に何ができるかは
一度でも想像したい。

想像の先に未来ができると
それだけは信じているから。