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美しい聖夜

あれは、いつかのクリスマスイブ
冬の冷たい風に
頬と指先が凍えていた

夜を過ごすための食材を調達に
あなたと電車に揺られて
めずらしく隣町のモールへ行く

店内のBGMはクリスマスソングが流れ
買い物している人々も
どこか嬉しそうにみえる

グリル用の野菜、骨つき肉、ケーキの材料を
順番に調達していく

最後はお酒

え、嘘でしょ

と思う私をよそ目に
次々とカゴに入っていくワイン達

そのワイン達は
背中のリュックサックにつめられ、
色とりどりの美しい瓶が12本

無事に家に帰れるか、
そんな心配をよそに
彼らは電車に揺られて無事に家の中へ

その夜は家中に、
イブのご馳走の
美味しい匂いが漂っていた

生クリームを間違えて使い切り、
ケーキをコーティングする
チョコに入れなかったから

冷やしたケーキを切る時に
かちんこちんで包丁が入らなかったのも
今となっては良い思い出

固いコーティングを切るために
包丁を熱したお湯の湯気が
寒い台所を温めてくれた

あの夜に飲んだ
透き通るようなブルーの瓶のワイン

薄いマスカット色の甘く深い味が
今だにわすれられない

ドイツの貴腐ワインだったかな?

ワインとチョコレートケーキを見かけると
あの美しい夜とケーキの固さに驚く
あなたの顔が思い出される


チョコレートケーキのレシピは、
母がいつも作ってくれたバースデーケーキのレシピ

ともかさん、こちらも仲間入りさせていただき、
ありがとうございます🎂