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春の空を映すおちょこ

山の麓のバス停に着いた

澄んだ空気が
山から降りてくる

横を流れる小川が
キラキラと水面を輝やかせ
石たちにぶつかる音を鳴らしては
降っていく

川の風が運ぶ3月の風は
まだ冷んやりとしている

この綺麗な水でお酒をつくっているのかな

小川沿いの坂道をゆっくりとのぼり、
坂の途中にある酒造の
蔵開きにやってきた

入口でお猪口を2つ買う

蔵に入ると、濁り酒が
飲めよ飲めよと言わんばかりに
その白さと濁りを見せつけてくる

お猪口2杯で
すっかりほろ酔いの私は
春の日差しを浴びながら
屋台の近くの芝生に座る

相方は酒豪なので
しばらくは戻ってこないだろう

お猪口をもった人たちが
和やかに話す声
柔らかな日差し
甘栗やたこ焼きの匂い

頭をふわふわさせながら
まだ蕾の桜を眺める

こんな春がくるものだと
ひとりしみじみ
春霞の空を見上げる