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砂の舞う丘

あれはいつかの
秋の始まり

砂が風に舞う丘をこえて
浜辺を目指す

あなたの後ろ姿についていくと
砂地に足をとられた

やっとで降りた浜辺

そこに生える草の名前と
美味しい食べ方を
私に教えてくれた

無邪気で優しい笑顔

長らく忘れていた
誰かに心を委ねることを
あなたは私に思い出させてくれた

生まれた時代など関係なく
あなたは私の友だった

浜に座って眺めた海を
かつてあなたは
愛する人とみたのだろう

耳に残るその歌は
あなたの記憶を
あの場所に映し出していた

遠くをみていた横顔に
私の知らない時が
流れては消えていた

あなたが消えてしまった
この世界で

いつかのあなたのように
遠くなった日を思う

よせてはかえす波の音

陽射しが柔らかくなった午後に
そっと映し出された
あの日の影の記憶


写真 結城 弘さま