【孤独な】The SUICIDE of RACHEL FOSTER【探索】
もっと謎解きしたいぜ!
ということで以前買ってあった「The SUICIDE of RACHEL FOSTER」というゲームを一年半ぶりにプレイ。
…違うんだ、忘れてたわけじゃないんだ。
イヤホン着用を推奨されていたのでちょっと面倒だったんだ…。
例によってセールで215円。
損するか新しい発見があるか際どいお値段でプレイ開始。
舞台は人里離れた廃業ホテル。
主人公はそのホテルを経営していた一家の一人娘。
離婚した父が亡くなったため、父が経営していたホテルを売却することに。
その前に館内の点検が必要なため、豪雪の中、嫌々ホテルまでやってきた。
…ということで最初から主人公のテンションがめちゃくちゃ低い。
それはそうだ、両親の離婚理由が不倫というから、子供にとってはいい迷惑だし別れ際にもいい思い出はあるまい。
本人も「とっとと済ませて帰りたいわー」と呟きながら館内をうろちょろしていると、「吹雪が酷くなりすぎて帰れなくなったZE☆」と地元担当官から電話連絡が入る。
(天災害に対応する管理庁の地区担当、ということらしいです。日本でいう市区町村の役所の人とか地元警察の人って感じ。)
この担当官が唯一の話相手となり、物語は進んでいく。
人里離れた廃業ホテルに独りきり。
何も起こらないはずもなく………………………………………………………
何も起こらなかった。
いや、吹雪によってブレーカーが落ちたりご飯どうしよう、などの目先の出来事は起こるのだが、幽霊とかラップ現象のようなことは特にない。
古臭く、やたらだだっ広いホテル内を愚痴りながらうろうろし、時折担当官と電話で話すくらいである。
とにかくホテルが広い上に階段の位置が特殊で本当にあちこちうろうろさせられる。
主人公が走れたのは幸いだった。
また、食料保管庫、ボイラー室、洗濯室…など宿泊施設ならではの場所に時々行くことになるのだが、マップを見ても英語表記のためどこが何か分からない。
「FRIDGE」と表記されてすぐさま「冷蔵庫」とはならなかったよ…。
この訳がない英語表記のマップ片手に、やたら広く複雑な構造の廃ホテル内を動いていくのだが、「次にどこに行くか」のヒントを与えてくれるのは主に担当官との会話となる。
唯一のヒントだぞ、大切に会話していくんだぞ、と主人公に言い聞かせるがなかなか強気な一人娘、ちょいちょい担当官と喧嘩して電話をブチ切りする。
唯一のヒントだって言ってるだろうが!!
ヒントを失い呆然とするのは主人公ではない。プレイヤーである。
また、会話時に何と返答するか選択肢が出ることがあるが、
「私がおかしいのかもしれない…」と表示されていたとして、
「私がおかしいっていうの!?」と返答する。
おとなしい返答を選んだつもりが逆に喧嘩をふっかけていく主人公。
そう、このゲーム、メーカーの説明には「ミステリーやホラーが混在するマルチレイヤーのスリラー物語」とあるが、主人公がパワフル娘すぎてあんまり怖くない。
もちろん、廃業ホテルの暗い館内や、そこに響く猛吹雪の風の音、誰もいないのにぎしぎしと軋む音……と雰囲気だけでも十分不気味だが、その中をのっしのっしとパワフル娘が闊歩するのでちょっと安心する。
また、前述の通り館内の構造が複雑なことに加えてマップが読み解きにくいため、もう雰囲気なんぞに構っている余裕はない。
次にどこ行けばいいのさ!?と館内を駆け回っていれば吹雪の音なぞ気にもならなくなる。
そのくらいプレイヤー側が必死こいて「次の目的地を探す」ゲームである。
謎解き要素については、ほとんど無いといって良い。
謎解きを期待していた身としては少し残念だった。
周辺の本であるとかコップであるとか、物を手に取り360°回転してみることもできるのに、本当に見るだけで何もできない。
なぜ…見れるように…したんだろう……?
制作者の意図にミステリーを感じ始めればゲームも中盤まで差し掛かれるだろう。
物語の後半は、これまでの孤独のお散歩が嘘のように情報が入ってくるようになる。
そこで様々知ることになるが、どうもズバリ言わなくても「察せ」という感が拭えない。これは物語の最後まで残る。
だんだんと解けていく謎、不気味な余韻…ということなのだろうが、結局なんだったんだ…という点も残るので、もう少しハッキリ言ってくれてもよかったかもしれない。
空気読みは日本人の得意技らしいが、海外の人だって空気読みしているのだなぁ。
物語の核となる部分だが、もう大人のおどろおどろしい事情なので、子供たちが本当に不憫でならない。
昼ドラが好きでない方は避けておきましょう、と明記したい。
プレイヤーが能動的に謎解きを行う、というより「操作できるミステリー映画」というのが感覚としては近かったように思う。
一番怖かったのは、パワフル娘が電話ぶち切ったり、意図しない反論して唯一の話し相手を失ってゲームオーバーにならないかハラハラしたこと。
手懐けられない主人公とは、恐ろしいものである。
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