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『サイドシートひとつぶんの新宿』稽古05

 5月はついにお芝居の本番です。本日から『サイドシートひとつぶんの新宿』という作品を、新宿三丁目の小さな劇場で上演開始しております。お酒を飲みながら、二人芝居と音楽に浸ってもらう企画となっています。

 今日発見したことは、お客さんが入ることで、役者さんの芝居がかなり変化するなということです。良くも悪くも「見せる」という意識が高くなっていきます。私としては、今日のお芝居で少し感情を見せすぎないで欲しいなと思ったところがあり、それをどのように伝えたらいいのか、考えているところです。練習をするというよりも、目指しているものを再確認した方がいいのかもしれないなと思っています。

 またもう一つ発見したことがあって、それは照明や音響が効果的に働くとそれ自体がお芝居をしてくれるということです。今回のお芝居は車内の時間を数年に渡って、連続して切り取るという構造上、実は暗転がかなり多くなっておりました。その部分をリハーサルで作曲の佐々井くんと音響のMana-Tさんに提案頂きながら音を入れることにしまして、長く感じてしまう暗転時間を次々と埋めていきました。雨の音や、雑踏の音、公園の音、実はリハーサルで急遽足した音源なのですが、幕が上がるとそれが非常に効いていることがわかります。ちょっとした事とちょっとした事が大きな効果を生むからプロの音響さんはさいごのさいごまで細部にこだわるのだなと考えさせられました。今回私がはじめて舞台を主宰するにあたって、小さな空間といえども友人関係だけではくプロのスタッフを1名お願いしようと思ったのがMana-Tさんだったのですが、依頼して本当によかったと思っています。そのお仕事ぶりを見るだけでも、演劇の稽古が目指すものが見えてくる気がします。私の印象ではプロの仕事ぶりとは淡々と求められるものを次々と叶えていくというものです。

 明日も新宿三丁目付近の劇場at theaterで上演をするので、ぜひ色々なひとに観に来てもらいたいなと思います。いま自分が音の事を書いたので、もしよかったら暗転中の音に注目してもらえたら、より楽しくお芝居がみられるだろうなと思っております。

 

まずは記事を読んで頂きありがとうございます。もしもサポートを頂く事があれば、次回公演の制作費の一部として使わせて頂きます。いちかわとも。