熱帯魚は悪くない。

 熱帯魚を飼っていたことがあったのをふと思い出した。熱帯魚という生き物は悲しいことに繊細な生き物で、環境が変わると死んでしまうことがある。そういえばウサギも環境の変化に弱く、ウサギの出てくる映画やテレビはあらかじめ何匹も用意しているとある映画プロデューサーから聞いたことがある。もしかすると、嘘かもしれないけれども。

 朝の満員電車は過酷な環境なので、きっとウサギがその中で生活していたら、一日で死んでしまうだろう。「いまはみんなスマホばかりみていて、周りの人をみる余裕もない。」なんて批判的な言葉を時々聞くことがあるけれども、満員電車の過酷な環境を生き抜くには、人間だって辛い情報を極力シャットダウンして、不快な環境であると脳が認識するのを阻止しなくちゃいけないんだから仕方ないよねと私は思うな。

 人が生きるにはこの「環境」ってやつが意外に大事なんじゃないだろうか。昨日ある会社の説明を聞いている時に、熱帯魚を飼っていたことを思い出したのだけれども、それは「環境」の大切さを感じたから。熱帯魚は昨日も今日も同じ生き物なのに、酸素が足りてるときには元気に泳いでいるし、酸素が足りないと死んでしまう。人間もきっと同じ、私もきっと同じ。別に自分がそのままで昨日も今日もなにも変わらなくても、周囲の環境が変わったら生きやすくなったり、生きにくくなったりするはずだ。朝の満員電車だって、時間をずらすとずいぶんと快適な環境だもの。

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