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目指したいすし店。

最近、2週間に1度の頻度で近所のすし店に出く。

もともとすしは好きだけど、いわゆるザ・すしな店にこんなにしょっちゅう行くのは人生初。これには2つの理由があって、1つは近所にあるという気軽さ。そして2つめは、この店がかもし出している絶妙なほどほど感。

絶妙なほどほど感、これがいいのだ。といっても、マグロの赤身はねっとりした食感で味が濃く、アジは注文後にさばく新鮮さで、人肌のシャリはネタをちゃんと引き立ている。つまり店主の腕は抜群で、どれもおいしい。

すしに加えて、おつまみもいい。海鮮サラダは、明太マヨネーズがけという変化球で、マグロの山かけは、すりおろしではなく千切りの山芋を合わせてシャキシャキ食感を楽しませる。春巻きは揚げたてで熱々、中の海老はぷりぷり。というのも、調理に使われている海鮮はすべてすしネタなので、鮮度抜群はもちろん、無駄のないSDG’s感も感じられて、それもとてもいい。


じゃ、どういうところがほどほどかというと、たとえばネタは定番のみで種類はそんなに多くない。旬のネタや限定メニューは一切なく「小肌は売り切れです、今日はウニも出ちゃいました」と無いネタがあるのも当たり前。

店内はカウンターとテーブル席。テレビが点いていて、野球やサッカーなどのスポーツや芸能人の歌うま選手権といった番組が流れている。それを見ながら「最近、ルールが変わりましたよね」「この人、歌がうまいんですね」のような世間話をするという、ゆるい空気感。

庶民的な店で、カウンターに座っても緊張感は皆無。それでいて、驚くほど料理はおいしく、でも、ネタが売り切れになったら、潔よくあきらめる。

これぞ、わたしがこれから目指すべき姿かも、と最近感じている。

なぜならサービスを提供する側も、サービスを受けとる側も、どちらも無理のない心地さがあり、それが質の高いサービスを持続させているから。


人には誰しも欲がある。それは稼ぎたいとか、他の人と違うものを提供したいとか、お客さんに満足して欲しいとか、より成長したいとか多種多様。それらの欲は本能に近い部分に存在しているから、わたしたちは過去より今をより良い状態にするための歩みを止められない。それがエスカレートすると、いつの間にか苦しくなり、そしてパンと弾けてしまう。

いい感じのところにあるのが、通っているすし店。

胃袋パンパンになるまで食べて、ビールから地酒も飲んで、それでいてたいてい会計が5000〜6000円というからありがたさ。たぶんこの価格で提供できるのは、ネタを限定し、仕入れし過ぎず、そういうことをていねいに守っているからだと思う。

書きながら気づいたのが、絶妙にほどほどな店、マレーシアの食堂はほとんどこれ。人気店はもっと営業したら稼げるのに、とこちらは思うのに、営業時間はかならず守る。このほどほど感が、心地いいんだね。

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マラッカの人気カフェ、13州の珈琲を提供するCalante Art Cafe。ここもずっと長い間ずっと変わらず営業しているのが素敵。

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